「緊急事態宣言」前と後で買い占め起きたのか 首都圏スーパー4店比較調査

   安倍晋三首相が2020年4月7日に発令した「緊急事態宣言」。東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に4月7日~5月6日の1か月、外出自粛を強く要請するが、電車などの公共交通機関は動くうえ、スーパーなどの営業も続く。

   それでも心配なのが、消費者による過度な買い占めだ。農林水産省や全国スーパーマーケット協会は公式サイトでそれぞれ、食料品について十分な供給量を確保しており、落ち着いた購買行動を呼びかけている。そこで、宣言発令前後の4月7日と4月8日に神奈川県の4施設を緊急調査した。

「緊急事態宣言」前後で購買行動に変化は
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品薄なのは慢性的、発注しても未納品

   発令前の4月7日午後。最初に足を運んだのは相模原市の、ある駅直結商業施設だ。店内をざっと見回すと人の数はまばらで、レジに列はできていない。ごっそりなくなっている品は目につかないが、品薄だったのがパスタとパスタソース、そしてマカロニだ。複数銘柄売っているにもかかわらず、棚にはそれぞれ2、3点しか残っていなかった。買い物客が店員にパスタの納品予定を聞いていた。「発注をかけているのに納品されない状態が続いているせいで品薄になっており、次回の入荷予定は不明」との答えだった。

   駅から徒歩3分ほどの場所にある、全国展開のスーパーチェーンでは、コメやパスタ、カップ麺、レトルトカレー、小麦粉に購入数の制限がかかっていた。そのためか、一部売り切れている銘柄はあるものの、棚がガラガラになるほどの品薄状態ではない。レジを見ると、各1~3人並んでいる程度で「長蛇の列」はなかった。

   3軒目、地域密着型中規模スーパーでもパスタやコメ、レトルトカレーなどがやや少なめだった。棚に商品がほぼなかったのは、袋めんと納豆のコーナー。特に納豆は「納品日未定」の案内が掲示されており、「以前からずっと、慢性的な品薄状態が続いている」と利用客に説明しながら別の商品の品出しをしている店員がいた。レジには各3、4人が並んでおり、通路を歩いている時に何度か道を譲り合う必要があるなど、前の2店舗に比べるとやや混雑していた。

   4軒目は大型ショッピングモール。品薄、売り切れになっている商品の顔ぶれは3店舗と大差はなかったが、お好み焼き粉やたこ焼き粉、小麦粉が特に売れているようだった。だが、ここでは特に品出しが積極的に行われており、在庫がわずかになっている商品を店員が見つけるとすぐ補充するという場面を何度か見た。レジには列ができていたが、他の利用客とは余裕をもってすれ違える程度だった。

宣言後の大きな変化は見られず

   翌4月8日、改めて4軒回ると全店舗、4月7日と比べて客数に大きな変化は見られなかった。1軒目の駅直結商業施設のパスタや、3軒目の地域密着型中規模スーパーの納豆など「納品日未定」になっている商品のほかは商品が補充されたのか、数が増えているものがほとんどだった。客同士で商品を取り合うなどのトラブルに遭遇することもなかった。

   記者の取材範囲では、買い占めは起きていなかった。引き続き、冷静な購買活動を心がけたい。

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