27歳の研究者、山下真由子さんが国際賞 「元・数学少女」今は京大准教授

   高校生の時に数学の国際オリンピックに出場した女性が、このほど国際的な賞を受賞した。京都大准教授の山下真由子さん(27)。「元・数学少女」は、気鋭の研究者として新たな成長を続けている。

京都大学
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「アジアの科学者100人」

   米グーグルの創業者らが出資していることで知られる「ブレークスルー賞」が2023年9月14日に発表された。朝日新聞によると、その中の優れた若手女性数学者を対象とする「マリアム・ミルザハニ・ニューフロンティア賞」に山下さんが選ばれた。

   ブレークスルー賞は、高額賞金で知られ、世界トップクラスの科学者を顕彰している。生命科学、基礎物理学、数学の各分野で受賞者が選定される。そのほかに「マリヤム・ミルザハニ・ニューフロンティア賞」などがある。

   同紙によると、受賞理由は「数理物理学、指数定理への貢献」。指数定理は、モノの形に潜む性質を調べるトポロジー(位相幾何学)の重要な理論で、山下さんは特に、複雑な図形や空間を代数的な情報に落として探る「代数トポロジー」を研究しているという。

   21年、日本数学会賞建部賢弘奨励賞を受賞。22年には、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)と駐日ポーランド共和国大使館が、国際的に活躍が期待される若手女性研究者に贈る「羽ばたく女性研究者賞(マリア・スクウォドフスカ=キュリー賞)」の第1回最優秀賞も受賞。シンガポールの科学誌が発表した今年の「アジアの科学者100人」にも選ばれている。

「いつも迷いの連続」

   山下さんの横顔は、京都大学広報誌「紅萌」の2023年春号に詳しく紹介されている。それによると、幼い頃からパズルや数独に親しみ、高校生のときに国際数学オリンピックに出場して銀メダルを獲得。なんと23歳で京都大学数理解析研究所の助教に就任した。

   広報誌の取材では、「もともと自信のない性格で、数学の難しさに直面して、自信をなくすことばかりです」と控えめに語っている。「運よく数学には挑戦できたけれど、自信のなさから挑戦せずに諦めてしまったこともたくさんあります」。

   数学も、一度は諦めかけたことがあるそうだ。大学2年の終わりに専門分野を決めるとき、数学への思いに蓋をして別の分野を選んだ。「迷いが生じて、『数学の研究者にはなれない』と思ってしまったんです。でも、数学から離れた1年間があったから、私が好きで、興味深くて楽しいと思うのはやはり純粋数学なんだと気づきました」と振り返っている。

   「幼少期に感じたパズルを解く面白さを数学に感じています。とにかく楽しいから毎日数学をしている、という気持ちは昔から変わりません。難しくて、解けなくて当然。世の中にある数学の問い全てが明らかになっていれば、研究する必要はありませんから」とも語っている。

中退、飛び級を繰り返す

   山下さんは、「神童ワールド」では以前から有名人だ。名門高校を1年で中退、通信制高校に移り、数学に没頭。その時期に数学オリンピックに出場した。入学した東大も3年で中退し、大学院に飛び級。大学院の博士課程も中退するなど、中退、飛び級を繰り返している。朝日新聞によると、昨年博士号を取得し、論文は現在13本。

   山下さんが23歳で助教に就任した京都大学数理解析研究所は、数学・数理科学の分野における世界の代表的な研究所として知られる。フィールズ賞受賞の広中平祐博士、森重文博士、ガウス賞受賞の伊藤清博士、チャーン賞受賞の柏原正樹博士などが歴代所長を務め、現在も22年のブレークスルー賞(数学部門)を受賞した望月拓郎博士ら多数の有名な研究者が在籍している。

   J-CASTトレンドでは関連で、「高2で『京大医学部合格』の衝撃 『飛び級』が日本の閉塞状況を打ち破る」「通信制高校から18歳で米国の名門大学院へ 驚異の『異能』支える孫正義育英財団」「司法試験に17歳で合格 高校生が超難関にトライする」などの記事も掲載済みだ。

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