「浦沢直樹」 天才の秘密が一瞬みえた

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   "漫画界の天才"あるいは"一億冊を売った男"。1月18日放送の『プロフェッショナル 仕事の流儀』は、漫画家・浦沢直樹(敬称略)が主人公だった。

   最近マンガから遠ざかっていることもあり、「浦沢直樹」という名前は知らなかった。だが、彼の作品の一つ「20世紀少年」は過去に友達から借りて見たことがある。最初の3巻だけしか読まなかったが、実はそんなに好きにはなれなかった。どこか暗い印象しか受けなかったのだ。

   しかし、仕事に没頭する浦沢が一本のペンでさまざまな人間の表情を作り出すさまをみて、すごい人なんだなと感じた。まるで自分がマンガの登場人物の一人であるかのように思わせる力をもった絵と、人間の本質をえぐりだすストーリー。なぜ浦沢は、クリエイティブな作品をコンスタントに発表し続けることができるのか? その原動力を問うシーンがあった。しばらく考えた後の彼の答えは、意外なものだった。

   「恐怖ですね。いつでも自分が気を抜いたら転げ落ちる。恐怖から逃れるために次から次へとこなしているかもしれない」

   次から次へとアイディアが生まれ、それを形にするのにも大した努力を必要としない。それが"天才"というものだと思っていた部分がある。しかし彼の口から出てきた言葉は、私の"天才"像から外れていた。彼の原動力は、誰もが持つ"恐怖"なのであった。

   けれども、番組の後半に彼が語ったもう一つの言葉には、彼が"天才"と称される秘密を垣間みたように思った。

   「僕が面白いと思って描いたら、(読者は)絶対その話をおもしろがる。そういう気持ちでなければ、こんな大変な作業をしないですね」。

   20年間にわたってマンガを描き続けてきた彼の肉体は、ペンが握れないこともあるほどボロボロになっている。それでもまだ、描くことを望んでいる。そして自分の作品に絶対の自信を持っている。誇りを持っている。正にプロフェッショナルだ。

   見方によっては、自分の作品の押しつけととられるかもしれない。しかし独自の世界観を、世の中の要望に答えてねじ曲げるよりも、よほど芯が通っている。

   今回の番組を見て、浦沢直樹の作品に興味がわいてきた。春休みに久しぶりにマンガを買ってみよう。

    ※NHK プロフェッショナル 仕事の流儀「心のままに、荒野を行け~漫画家・浦澤直樹」(2007年1月18日放送)

文   慶応大学1年・がくちゃん
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