「人を動かす上で一番大切なこと」 それが少しわかった

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   「喝采か 酷評か」。演奏が終わった後、はたして劇場内は天国なのか、もしくは地獄と化すのか。その全ての責任は指揮者にふりかかってくる。

   今回の『プロフェッショナル 仕事の流儀』は、指揮者・大野和士(敬称略)の話。ヨーロッパのクラシック音楽の最前線に立つ日本人指揮者として注目を集めている。クラシックに明るくないので、日本人指揮者と言われても小沢征爾くらいしか名前が浮かばないのだが、世界の一流劇場からオファーが舞い込むほど、大野の人気は高いのだそうだ。

   海外のオーケストラで指揮するためには、その国の言語を話せることが必要だ。オペラともなれば、歌詞の内容もしっかりと理解していなければいけない。番組中で目を見張ったのは、大野が外国人の歌手にレッスンをしている場面。大野は「この言葉には2つの意味が込められている」と外国語で指摘していたのだ(私には何語なのかすらもわからなかったが)。その外国語を母語とする歌手でも気づかなかった単語の深い意味を読み取って、鋭く指摘したことに驚いた。

   指揮者は英語で「コンダクター(conductor)」。指導者という意味もある。つまり、大勢の人を動かす者ということだ。多数の人を動かすという意味で、指揮者は他の職業のリーダーにも通じる。では「人を動かす上で一番大切なことは?」。そう訊かれた大野の答えが印象的だった。

   「指揮者に命令されてもいい音は出ない。命令するのではなく、演奏者が一番やりやすい方法で音を出させる。これが一番いい音になる」

   私も、学校やバイトなど何かにつけて人の下で働く機会がある。そのとき私が上の人間に対して"こうあって欲しい"と願う理想像がある。その人自身に能力があると同時に、部下に対しては、むやみに縛り付けず多少なりとも信頼して任せてくれる人。そのような上司のもとだと、自然とやる気が湧いてくる。

   命令に従わせるだけでは、その人の能力を存分に発揮させることは多分出来ない。人間は仕事をこなす上である程度の自由を求めるからだ。職種にもよるが、部下の能力を判断して、ある程度自由に仕事を任せることができる人間が、人の上に立つ人間ではないかと思っている。いつか人の上に立つとき、私はそうありたいものだ。

    ※NHK プロフェッショナル 仕事の流儀「がけっぷちの向こうに喝采がある~指揮者・大野和士」(2007年1月25日放送)

文   慶応大学1年・がくちゃん
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