「主人公は僕だった」
悲劇の結末は嫌だ!筋書き変えようともがく小説の主人公

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   主演のウィル・フェレルはアメリカで人気のある俳優だが、日本では余り知られていない。何故なら彼は喜劇役者で、日本ではコメディは当らないからだ。それでも昨年公開の「プロデューサー」でナチ狂いの劇作家を大笑いした人は、彼を覚えている筈だ。筆者がNYで見たカーレースの「タラデガ・ナイツ」(日本未公開)も満員の盛況だった。


   彼をサポートするキャストが凄い。「レインマン」でアカデミー賞のダスティン・ホフマン、同賞を「ハワーズエンド」で取ったエマ・トンプソン、「シカゴ」でノミネートされたクイーン・ラティファ。フェレルのロマンスの相手役は「セクレタリー」でゴールデングローブ主演女優賞のマギー・ギレンホールだ。

   監督のマーク・フォースターは「チョコレート」でハル・ベリーにアカデミー賞をプレゼントし、「ネバーランド」でアカデミー作品賞にノミネートされた。この映画の奇妙奇天烈な展開を描く脚本家はこれが長編映画デビューとも思えぬザック・ヘルム。この本でナショナル・ボード・オブ・レビューの脚本賞を得ている。

   原題「stranger than fiction」は、日本語にもなっている「諺」。Fact is stranger than fiction. Truth is stranger than fiction. とFactやTruthを主語に「事実は小説よりも奇なり」と誰でも良く知っている。その小説を誰が書き、主人公は誰かが問題なのだ。

   主人公は謹厳実直な国税庁の検査官クリック(フェレル)。毎日同じ時間に目を覚まし、同じ回数歯を磨き、同じ歩数でバス停まで歩き、仕事をして毎晩11時13分に就寝する。いつも一人、友達は同僚に一人だけ。こんな生活を12年間送って来た。そこへ突然、自分の行動を描写する女性の声が聞こえてくる。正確なナレーションだ。 声の主を突き止めると、人気作家カレン・アイフル(トンプソン)。文学理論を専攻するヒルバート教授(ホフマン)を訪ねると、とてつも無いクリックの話を信じる。カレンの結末はいつも死で終わる悲劇だから、これを喜劇にしなければならない。生き延びるために喜劇の定番「敵対する相手と恋に落ちる」ことを勧める。

   破天荒な設定で興が削がれると思った冒頭だが、悲劇を喜劇にしようとするクリックの様々な努力や、ケーキ屋の女主人アナ(ギレンホール)との税の申告をめぐる争いからロマンスに発展する展開に、いつしか引き込まれる。10年も小説に取り掛かっていて、結末が書けないスランプ状態の作家カレンのお陰で生き延びているのもオカシイ。

恵介
オススメ度: ★★★☆☆
主人公は僕だった(STRANGER THAN FICTION)
2006年アメリカ映画・ソニー・ピクチャーズ配給・1時間52分・2007年5月19日公開(日比谷みゆき座ほか)
監督:マーク・フォースター
出演:ウィル・フェレル / マギー・ギレンホール / ダスティン・ホフマン
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