「ゴースト・ハウス」
口のきけない3歳児の「霊能力」気味が悪い

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   「スパイダーマン」シリーズで今や売れっ子ノリノリのサム・ライミ監督。トッチャン坊や風の細面の47歳だ。彼は本質的にはコミックよりもホラー映画に興味を持っている。「死霊のはらわた」('81)シリーズで世に出て成功したが、自身の撮りたい作品のために「ゴースト・ハウス・ピクチャーズ」を設立した。本作の邦題は日本の配給会社が勝手につけた名前で、たまたまプロダクション名と一致している。


   ライミはアジアからの才能の発掘にも努めている。日本から清水崇や中田秀夫をハリウッドに呼び、監督や脚本(「呪怨」「ダーク・ウォーター」など)をやらせた。香港でも、恐怖映画「the EYE」を作ったダニーとオキサイドのパン兄弟に目をつけた。彼らを監督としてハリウッドに招聘して仕上げたのがこの作品だ。

   しかしはっきり言って「やはり野に置けレンゲ草」だ。香港の陰湿な舞台と違って、ノース・ダコタのひまわり農場では怖くないのだ。不吉の象徴として「大ガラス(RAVEN)」をわざわざチェコから持って来て、ヒッチコックの「鳥」風に使ってもパニックにならない。「パニックルーム」の子役から成長したクリステン・スチュワートが主人公を演じるが、怖さの伝わらない演技。唯一、3歳の口のきけない男の子の霊を感じる能力だけは気味が悪い。でもそれは「ポルターガイスト」などに出てきた幼い子と同じデジャヴだ。

   失業中のロイ(ディラン・マクダーモット)は従順な妻デニース(ペネロープ・アン・ミラー)や子供たちとともに、シカゴの喧騒を逃れてど田舎のノース・ダコタの農家に引っ越して来る。一言も喋らない3歳の長男ベンに手がかかるばかりか、長女ジェス(クリステン・スチュワート)との関係が悪化してきているからだ。

   農家の周りはカラスだらけで気味が悪いが、誰かが銃で追っ払ってくれる。流れ者のジョン(ジョン・コーベット)だ。気に入ったロイは作男として雇う。しかしその後、家の中で壁に無数に染みが広がり、戸が一人でバタンバタンと開閉するようになる。ジェスの周囲で怪奇現象が続くが、家族は信じてくれない。ただ一人ベンだけが気付き、何かを追って地下室に下りようとする。

   ホラー映画を見慣れた観客は先が読めるんだなあ。これから起こることは。まあサム・ライミの目も時には曇ることもあるさ。しかし力のある香港の監督も、8月1日に紹介した「消えた天使」のアンドリュー・ラウにしてもこのパン兄弟にしても「アウェイ」では力を発揮出来ない。「やはり野に置けレンゲ草」は真実だ。

恵介
オススメ度: ★★☆☆☆
ゴースト・ハウス(THE MESSENGERS)
2007年アメリカ映画、東宝東和配給、1時間30分、2007年7月21日公開
監督:ダニー・パン、オキサイト・パン
出演:クリステン・スチュワート / ディラン・マクダーモット
公式サイト:http://www.ghosthousemovie.jp/
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