「5秒のために」すべてを注ぐ 「花火師」の粋な精神

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   今回の「プロフェッショナル・仕事の流儀」は、トークスペシャルの第4弾。花火師、宮大工、左官、庭師と、日本の伝統技師たちのトークの総集編が放送された。なかでも、一番面白かったのが花火師・野村陽一の話。ちょうど今が花火シーズンということもあり、ひときわ私の印象に残った。

   花火師とは、花火の製造や打ち上げをする職人のこと。一発の花火は"玉"と呼ばれる紙でできた球に、"星"と呼ばれる火薬玉を詰めて作られる。日本の花火技術は今もなお世界有数だ。ほんの一瞬だけ夏の夜空を染め上げるために、花火師は途方もない手間と時間をかける。

   野村は"尺玉の帝王"または"当代随一の花火師"との呼び声も高いカリスマだ。花火の"花"が開いてから散るまで、5秒。野村はその5秒のために一切の妥協を許さない。わずかな"星"のズレが、全体のバランスを大きく崩してしまうこともあるからだ。

   そんな頑固なまでの野村の精神が現れるトークが、番組ホスト茂木健一郎との間に繰り広げられた。

   茂木「ずっと展示できるモノ作りもありますけど、野村さんのモノ作りは…」

   野村「モノはなんにも残らないですね。ただ記憶だけ。逆に言えば、いつまでも残るもの。手を抜いてしまってはその5秒間がダメになってしまう。(誰かの記憶にずっと残るような)そんな花火を作っているので、自分の生き方もしだいに花火に似て"潔い"っていうのを良しとする精神が生まれるかもしれないですね」

   なんとも粋な会話だった。一つの花火には花火師の魂が込められている。花火師の魂を感じながら花火を見上げれば、またひと味も美しく見えるってものです。

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