なぜ「脱北者」の英雄は「麻薬密売人」に堕ちたのか?

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   北朝鮮の拉致問題について歴史的な証言をした英雄的元脱北者が、覚せい剤密売・使用の疑いで捕まったという事件がちょっと前に話題になった。

日本のメディアが彼を創った

   その人物――安明進被告は一審で懲役4年6か月の実刑判決を受け、10月19日金曜日に控訴審判決が出るそうだ。たぶん、それに合わせてだろう、番組は被告の供述調書などの"スクープ"を基に特集を放送していた。

   それによると、93年に亡命してきた被告は、韓国ガス公社という安定した高収入の職に就き、家庭も築いた。ところが、その生活が一変してしまう。理由はなんと金大中大統領の太陽政策。北朝鮮の悪行を告発しつづける彼は韓国政府から疎まれるようになったそうだ。

   「政府の圧力の中で仕事も失うし、マンションにも住めなくなった」(被告と親交のあったジャーナリスト・高世仁)

   仕事も家も家庭も失った彼は、日本に活路を見いだす。ちょうど拉致被害者帰国に前後して需要が高まり、テレビなどのインタビューに応じると「30分で7~8万円」という高額な謝礼が入る。ホステスのいる店で一晩10万円使って豪遊したこともあるという。

   その後は、飲食店や不動産などのビジネスに手を出して失敗。拉致報道も下火となり、経済的に困窮した。2006年には韓国政府の職員を「北朝鮮工作員」とコメントする大失態を演じてしまう――。

   長いVTRを要約するなら、「太陽政策」と「日本のマスコミ」が彼を翻弄したようである。現にコメントタイムでも、ジャーナリストの 大谷昭宏は「太陽政策」、村田晃嗣・同志社大学教授は「マスコミ」説をそれぞれ主張した。

   「なんで、この時期に摘発され、求刑より重い判決が下ったのか。太陽政策を進める人にとっては、(被告の)過去の証言を否定する良い材料になる」(大谷)。言葉を選びながらも、事件はまるで韓国政府の陰謀であったかのように聞こえてくる。

   「(信憑性の定かでない情報に)大金を払って取材するなど、日本のメディアが彼を創ったという側面がある。大いに反省すべきだ」(村田)

   「それは否定しませんよ」。大谷は悠揚として応じたが、自分たちの反省よりは疑惑(陰謀)追及が大事と言わんばかりの態度に見えた。

文   ボンド柳生 | 似顔絵 池田マコト
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