「ロンリーハート」
犯罪史上に残る「連続殺人鬼」追い詰める

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   このところ、全米を震撼させた殺人鬼の実話に基づく映画が散見される。B・D・パルマ監督の50年代の「ブラック・ダリア」、D・フィンチャーの69年から70年代の「ゾディアック」など。これらの事件はそれぞれ迷宮入りで、観客は見終わった後、欲求不満に陥る。


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   この作品の舞台は40年代後半、第二次大戦が終わった直後。戦って死んだ兵士の未亡人や婚約者たち、未婚の中年女性たちの心の隙間(ロンリーハート)に入り込み、次々と殺害して金品を奪った鬼畜の事件を追う。犯人は、20人以上を殺害した男女のアベックで、二人がシンシン刑務所で死刑になるまでを描く。前述の作品と違い、犯人たちを追い詰め逮捕し、殺人の動機を聴取し、電気椅子に座らせる過程でカタルシスを覚えさせる。

   過去には、このシリアル・キラーたちを主役に「ハネムーン・キラーズ」(70)や「深紅の愛 DEEP CRIMSON」(96)として映画化された。本作は追い詰める刑事たちに焦点を当てる。それもその筈、ロビンソン刑事の孫、トッド・ロビンソンが脚本と監督を務めているからだ。劇中にはトッド監督の父親(ロビンソン刑事の息子)エディも登場。映画の終わりで献辞をしている。

   チョビ髭の小男だがハンサムのレイ(J・レト)は弁舌が立ち、寂しい女性たちに接近しては甘い言葉で巧みに金品を騙し取る。そんな犠牲者の一人となる筈の看護婦マーサ(S・ハエック)に出会い、逆にマーサに危機を救われたことで二人は組んで仕事をすることになる。兄妹と称して被害者に近づき、レイが肉体関係を結んで親しくなる。そして金品を奪うのだが、マーサに異変が生じる。被害者に嫉妬し、マーサが殺しを積極的に行うようになった。マーサを愛するレイもそれを良しとして、犯罪は益々エスカレートして行く。

   一方ロビンソン刑事(J・トラボルタ)は妻の自殺後、気落ちして仕事も投げやりだったが、ある未亡人の自殺を担当して、その背後にある陰謀を付き止めようとする。彼女はレイとマーサの犠牲者だったのだ。相棒のヒルダーブランド刑事(J・ガンドルフィーニ)と組んで足跡を辿り、追い詰めて行く。

   実際の犯人二人の写真を見ると、レイはなるほどハンサムだが、マーサは100キロを越えるおデブ。ポリスカーに止められ盗難車だと気付かれる前に、マーサが警官にフェラをして逃れる。美女のサルマならあり得るが、警官はともかく、こんな女に引きづられてレイが殺人を犯すとは考えられない。が、事実は小説より奇なのでしょう。レイとマーサが、獄中でも愛を取り交わした文書が残っている。

   このところ悪役の多いジョン・トラボルタの刑事に少々違和感が残るが、真面目に演じている。相棒のジェームズ・ガンドルフィーニは「ソプラノ・ファミリー」のボスですっかりイメージが固定しているだけに、こちらの刑事役にも違和感がある。映画の出来はやはりデ・パルマやフィンチャーには敵わないロビンソン監督。ただお爺ちゃんへの優しい親しげな感情だけは画面を通じて伝わって来る。

恵介
オススメ度: ★★★☆☆
ロンリーハート(LONELY HEARTS)
2006年アメリカ映画、ソニー・ピクチャーズ配給、1時間47分、2007年11月10日公開
監督・脚本:トッド・ロビンソン
出演:ジョン・トラボルタ / ジェームズ・ガンドルフィーニ / ジャレッド・レト / サルマ・ハエック
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