「フライボーイズ」
戦争志願の若者が見た「最後の騎士道」

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   今でこそアメリカは「世界の警察」として何処へでも顔を出し、武力で紛争を解決しようとしているが、19世紀前半、モンロー大統領の孤立宣言「モンロー主義」で、他国、特に欧州諸国の紛争にはクビを突っ込まなかった。それから100年経った第一次大戦中もアメリカは孤立主義を固持していた。そのため、ドイツに苛立つアメリカの若者は、フランスなどの軍隊に志願兵として加わった。スペイン戦争に志願したアーネスト・へミングウェイなどもその口だ。

(C)2006 ELECTRIC DISTRIBUTION(FLYBOYS)LTD.
(C)2006 ELECTRIC DISTRIBUTION(FLYBOYS)LTD.

   映画はそんな政治的な背景には一切触れていない。主人公ローリングス(ジェームズ・フランコ)はテキサスの農場を差し押さえられ、新天地を求めてフランス空軍に志願する。ラファイエット戦闘機隊の司令官セノール大佐(ジャン・レノ)に迎えられた同僚のアメリカ人の若者たちと、訓練を受け寝起きを共にする。殆どのパイロットが戦死することを知る先輩のキャシディ(M・ヘンダーソン)は若者たちを冷たくあしらう。「未だ何にも分かっていない」と。ローリングスは訓練中に不時着し、かいがいしく介抱してくれたルシエンヌ(ジェニファー・デッカー)に一目惚れする。

   その頃の戦闘機「ニュ-ポール17」を保存されていた博物館から借り受け、レプリカも何台も造られた。2枚の翼の複葉機で速度も速くないから接近戦で、相手パイロットの顔も見える。事実、機銃が弾詰まりを起こして、接近した相手方をピストルで撃つシーンもある。エンジントラブルでも長く滑空できるからパニクらない。のどかな戦闘だ。お互いに対峙し間合いを詰め、衝突寸前まで機銃をぶっ放しながら突っ込む。「最後の騎士道」とも言われるゆえんだ。だが仲間が次々と死んで行くのはどの時代の戦争でも変わらない。

   その頃のドイツの戦闘で、飛行船が使われていることを知らなかった。あんなノンビリした巨体が戦争で役に立つものかと思ったが、パリへ爆弾投下に出航したと伝わる。迎撃に飛び立つ戦闘機とこの飛行船を巡るバトルで船尾から爆発して行くシーンは凄い迫力だ。

   第二次大戦でアメリカが参戦する前のアメリカの若いパイロットを描いた「メンフィス・ベル」のような映画を期待したが、ストーリーもありきたりで、2時間20分になんなんとする長い退屈な映画だ。ルシエンヌとのロマンスも中途半端。トニー・ビル監督は14歳の時に曲芸飛行の免許を取ったという。でも映画の免許は取っていないと見える。アメリカでも製作費(70億円)をかけた割にはヒットしなかった。もっとも主役がスパイダーマンの悪役ジェームズ・フランコじゃ格落ちで仕方が無いかな。

恵介
オススメ度: ★★☆☆☆
「フライボーイズ」(FLY BOYS)
2006年、アメリカ映画、プレシディオ配給、2時間18分、11月17日公開
監督:トニー・ビル
出演:ジェームズ・フランコ/ジャン・レノ/ジェニファー・デッカー
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