小日向熱演、でも…ややこし過ぎよ!小西真奈美(あしたの、喜多善男)

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   死を決意した男の奇跡の11日間というから、余命幾ばくもない主人公を描いた感動作「僕の生きる道」みたいなのを想像してたんだけど、あれ? なんか雰囲気が違う。登場人物は怪しい人たちばかりで謎だらけ、おまけに主人公のもう1人の人格なんて出てきちゃうと「世にも奇妙な物語」みたいだ。

   妻に捨てられた喜多善男(小日向文世)は、金にもツキにも見放され借金まみれ、親友の命日である11日後に自らの人生を閉じようと決める。ひょんなことからキャバクラのスカウトマン矢代平太(松田龍平)と出会い、ねぐらを世話してもらうが、どうやら平太の目的は保険金殺人? 一方で今や大会社の社長におさまっている善男の元妻・みずほ(小西真奈美)は、なにやら精神を病んでいる様子。

   謎をひっぱりすぎだ。訳のわからないまま4、5話くらいで面倒くさくなってしまった。つまり、これはサイコ・サスペンスだったのね。だから別人格とか出てくるのか。泣く気マンマンだった私の勘違い。

   「生きたい」と思っている人と、「死にたい」と思っている人の、最後の日々の過ごし方は違うようだ。何かをしたいというほどのこともなく、ただただ受け身の流される日々。もどかしいことこの上ない。

   そもそも、ほんとに死のうと思っている人間はそんなこと皆に言わないだろう。「死ぬ、死ぬ」とふれまわって、止めてくれるのを待っているとしか思えない。11日後なんて設定するのも、先延ばしにしているだけ。だから飛び降りようとする最期の場面に、まるで緊迫感がない。

   11日間に出会う人たち、善男に父親の姿をダブらせる平太との関係や、アイドルくずれの宵町しのぶ(吉高由里子)との逃避行のエピソードがもっとグッとくるものだったら、「あの人を死なせたくない」という彼らの思いにも感情移入できたのかもしれないが。

   平太に説得された善男は、誰かが自分に生きていて欲しいと願ってくれる歓びを知ったのだろうか。「本当に愛を得たいなら、他者を、自分を許すこと」という言葉が出てきたけど、どういう思いを経て、殺すために自分と結婚したみずほを許すことができたのだろうか。2人が見詰め合ったあの表情だけで読み取れってこと?  とても映画っぽい手法だけど、今一つ伝わりにくい。

   再び生きようと決心した善男が、カバンを新しく変えるところ、そしてラストカットの笑顔がステキだっただけに、なんだかもったいないと思ってしまう作品である。

   ※あしたの、喜多善男(フジテレビ系 火曜22時)

文   ツキノ・ワグマ
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