お年寄りの財産奪う 「手を染める大多数は親族」

印刷

   成年後見制度がスタートしたのは2000年である。本来は、認知症や重い病に冒されたお年寄りの生活、財産を支え、守るために考えられたものだ。ところが、この制度が悪用されて、お年寄りが被害を蒙るケースが増えているのだという。

解任される後見人は増加

   後見人は、お年寄りの預金通帳や印鑑、土地の登記簿など、すべての財産を預かる。とすれば、判断能力を失いつつある人から財産を奪うことは、さほど難しいことではない。番組が例にあげる被害者はいずれも認知症がすすんでいた。

・ 80代の女性の後見人になった50代の男性は建設作業の下請け会社を経営していた。経営難に陥った男性は女性が所有する山林を売却し、その金を会社の運転資金と生活費に充てていた。
・ 90代の女性の家のリフォームを手掛けた悪質業者は仲間を後見人に仕立てて、女性の持つ不動産を売り飛ばそうとするが、寸前、詐欺容疑で逮捕される。

   もちろん、「後見人の多くは誠実に活動している」(国谷裕子キャスター)のだろうが、悪意を持って計画的につけ込まれると始末に悪い。不適切な行為をして解任される後見人は年々、増加し、昨2007年は207人に達した。

   番組の「悪質後見人」は第三者だが、「後見人の8割は親族から選ばれ、不祥事に手を染める大多数は親族」(中山二基子弁護士=スタジオゲスト)だという。中山弁護士は、「親族の場合、親の財産だから、これだけ苦労しているんだから、となるのでは」と話す。

   65歳以上の人口は全国で2800万人、後見人数は現在、12万人。後見制度を利用する人は、増える傾向にあるという。信頼できる後見人の確保を目指して、何か手を打たないわけにはいかない状況だ。

「安心」めざし区民が参加

   そこで番組はある自治体の取り組みに目を向ける。

   東京・世田谷区が25才以上の全区民に呼びかけて「区民後見人」を募集したのは2年前。

   履歴書、面接、そして多額の負債など生活面のトラブルがないかを厳しくチェックし、慎重に絞り込んで選ばれるのは10人に1人。その上で、法律や医療の知識を教える。担当課長は「養成し、裁判所の受任を得、活動のフォロー、監督、と一連のシステムをつくらないと安心を与えることにならない」と語る。4年で区民後見人を倍増する予定だ。

   成年後見制度は、お世話にならずにポックリ逝ければ幸せだが、高齢者の多くはいずれ頼らざるをえない制度なのだろう。それにしては、複雑で、個人で立ち向かうのは荷が重そうだ。行政の手助けが必要な気がする。世田谷区に住むお年寄りは恵まれているといえるかもしれない。

アレマ

   <メモ:任意後見制度>

   本人の判断能力があるうちに、将来、能力が欠ける場合に備えて後見人を定めておく。一方、法定後見制度は、判断能力が欠けた際に、親族などが家庭裁判所に後見の申立をして選んでもらう。

文   アレマ
  • コメント・口コミ
  • Facebook
  • twitter
コメント・口コミを投稿する
コメント・口コミを入力
ハンドルネーム
コメント・口コミ
   

※誹謗中傷や差別的発言、不愉快にさせるようなコメント・口コミは掲載しない場合があります。
コメント・口コミの掲載基準については、コメント・口コミに関する諸注意をご一読ください。

注目情報PR
追悼

お知らせ

電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中