「水不足」が牛肉価格を押し上げる

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   地球温暖化による気候変動で世界各地で深刻な「水危機」が起きている――。その現状を伝えた前日に続く第2回目は「地球の水は人を養えるか」として、大量に水を使う農業分野での水不足への取り組み・対策と問題点を取り上げたのだった。

   世界に冠たる農業大国のオーストラリアでは、国内を流れる川の水量が見る見る低下。そこで農家の取水制限を厳しくし、その代りに「水」を市場で売買できるようにした。温暖化ガスの排出権取引を思わせるような仕組みである。

「食べるなら今のうちかもしれません」

   そうすると効率的な水利用への意識が高まり、節水のための大規模な設備投資も行われる。市場システムの大勝利――とはいかずに、いつもの「光と影」である。水の価格が高騰し、小規模農家は水が買えずに立ち往生。投資家から資金を集める大規模農家は、水をあまり使わなくても育ち、儲けの多いオリーブなどの作物に転換する。

   これはオーストラリアの話だが、日本人にも他人事ではない。どうもグローバルな地球環境問題がピンとこないという視聴者のために、番組はちゃんと卑近な例を用意してくれてるのだ。なんと素晴らしい配慮だろうか。

   じつは日本が大量に輸入するオージービーフが危機に瀕してる。「水」資源の観点からは、牛の飼育は大変効率が悪いらしい。牛肉45gを得るためには牧草や飼料などで、なんと水900リットルもの水を使う。他の農作物とは桁違いの数字である。

   「(オーストラリアでは)灌漑して牧草を育てるという、かなり無茶な、贅沢な水の使い方をしていた」とゲストの沖大幹・東京大学生産技術研究所教授は指摘する。水が高価で貴重な資源と化したいまでは「牛はやめようということになるかもしれないですね」

   もしやめなくても、牛のエサの牧草や穀物を外国から輸入するようになっているため、今後価格に反映され、「安くておいしい輸入牛肉は過去のものになる可能性もある」

   温暖化でオージービーフも絶滅へ――。「食べるなら今のうちかもしれません」(沖)と実践的なアドバイスも怠らない今日の番組だった。

ボンド柳生

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