テレビが流す統計 信用できるか
2008.06.02 12:44
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週末土曜日(5月31日)のガソリンスタンドは大変だったらしい。都内環状8号線沿いのスタンドは、先月の駆け込み給油以来有名になったところだが、今回も400メートルもの列ができた。
1日から自動車の後部座席のシートベルト着用が義務づけられた――というので、「時速10kmでも危険 後部シートベルト未着用」と題する『実験』が行われた。
むろんテレビ番組の企画として収録、放映されるからは「危険」に違いないので、視聴者的にはリポーターのネクタイの柄や演技力を鑑賞するモードに移行する。
はたして時速10kmの自動車が急停止すると、後席のリポーターの木内希は、「うあーあ、怖い!」と叫び、前席に手をつく。まるで遊園地のモンスター絶叫マシンに乗ったように。そして「こんなにすごい衝撃だとは思わなかった」と述懐するのだった。
続いては、スタジオに統計の登場。後席シートベルト着用・未着用で重傷・死亡者の数をくらべると、未着用者が圧倒的に多い――。するとコメンテイターでタレントの松尾貴史が大張り切りで、こう主張した。「現状はシートベルト未着用者が多いのだから、死亡者の数が多いのも当然。この比較では未着用の危険性を証明できない」
松尾は、たぶん彼に求められているところの「鋭い発言」ができるチャンスを逃さず、執拗に統計の不備を言い続ける。最後は赤江珠緒キャスターが「頭いいな。気付かなかったです、我々」と番組を代表して非を認め、混乱を収束させた。
文
ボンド柳生| 似顔絵 池田マコト