秋葉原事件 「けしからん」だけじゃ解決しない

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   秋葉原で無差別殺傷事件が起きた。2001年の池田小事件と同じ日付だった。「殺す相手はだれでも良かった」という事件が続いて起きている印象だ。

   ひっかかったのは、25歳の容疑者は「ワイドショー独占」が夢だった、という話だ。何か人生をリセットできると勘違いしてきたのだろう。今回のような事件は、容疑者の「緩やかな自殺」だと思っている。

   テレビを見ていると、出演者たちの意見は「けしからん」「信じられない」というレベルに止まっている印象だ。しかし、簡単に「信じられない」というが、実は時代の空気としては、容疑者の気持ちを、全面的ではないにせよ、何かしら「理解できる」という若い人たちは結構いるのではないか。

   確かにそれは不気味で信じたくない話かもしれない。しかし、人生に対し、社会に対し不満が渦巻き、容疑者に「共感」を示す若者はいるように思えてならない。そういう恐ろしい世の中になっていると認識することが、まずは大切だろう。

   そうした「共感」と実行との間には大きな溝があるとは思うが、万が一にもそういうことがないように、家族や友人、仕事のきずなをもう少し大切に考え直すべき時期に来ていると思う。成果主義だ、派遣だ、などと言われるようになり、「職場の仲間」といった意識は昔に比べ、ずいぶん希薄になっている。家族間の関係ですら弱くなっている。最近の日本は、こうしたことの大切さを後回しにし過ぎたのではないだろうか。

   色川武大(麻雀放浪記の阿佐田哲也)の「狂人日記」を読むと、社会に適合できない中、ギリギリのところで「何か」を探りあてて生きていた姿が描かれている。苦しい生活なんだけど、他者への攻撃に向かうのではなく、苦労して苦労して生きていた。悩みながら頑張っていた。

   昔から適合するのが苦手な人はいた訳だが、ちょっとした関係であっても人と人との結びつきがあれば、それは大きな助けになってきただろう。今、家族・友人・仕事の仲間が、お互い大切にしよう、と確認する時なのかもしれない。

      親仕事 友とも切れて 自分キレ

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