バイオ燃料「ひんしゅくの嵐」 すると遺伝子組み換えが…

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   もてはやされてきたバイオ燃料が、本家本元のアメリカで白い目で見られ始めたらしい。原料であるトウモロコシの価格を押し上げ、食糧高騰を招いたと指摘されているという。

テキサス州知事「有害無益だ」

   政策的に推進が図られ、減税措置も講じられた。その結果、トウモロコシの需要は大幅に増えて、値は上がり、農家は潤い、「収入が4割増えた」(イリノイ州の農家)。が、まず、畜産農家が割を食うことになった。エサ代が跳ね上がって経営の行き詰まる業者が続出したのである。しかも、市場に出回る穀物、肉類の値段にも影響を与えて社会問題となり、世論の批判がバイオ燃料に向かった。

   畜産の盛んなテキサス州の知事は「バイオ燃料推進策はエネルギー自給国家に導く最善策と政府は考えているかもしれないが、有害無益だ」と切り捨て、オバマ大統領候補も「バイオ燃料が食糧高騰の原因になっているのは間違いない」と政策の見直しに言及する。

   一時、有卦に入り、多額の借金をして生産規模の拡大に走ったイリノイ州の農家は、「政策が見直されると、価格は確実に下がって我々にしわ寄せが来る」と不安を隠さない。「アメリカが揺れています」(現地記者)というわけだ。

   アメリカ政府の打った手は、遺伝子組み換え技術を導入することだった。害虫に強く、収穫量の増大が望める品種は、「トウモロコシの収穫量を増やすことは何より重要」(農務長官)として、増産を期待するアメリカ政府にとっては打ち出の小槌かもしれない。

   トウモロコシ作付面積の80%が遺伝子組み換えに使われているそうだ。スタジオゲストの茅野信行・國學院大教授は「増産効果があるので供給量は増える」と語った。

「危うさは?」

   ここで話は日本側に移る。トウモロコシの94%、大豆の79%の輸入をアメリカに頼る日本もこうした現実に向き合わざるを得ない。「消費者の抵抗感が強く、遺伝子組み換えをしたトウモロコシは食用にほとんど使われてこなかった」(ナレーション)が、ビールなどに使われるコーンスターチメーカーはすでに導入に踏み切っている、と伝える。

   国谷キャスターが「危うさはありませんか?」と尋ねると、茅野教授は「いくら遺伝子組み換えのものといっても、天候異変に対抗できるわけではない」と答えたが、質問は、「遺伝子組み換え食品自体の危うさ」についてではなかったか。

   おそらく生放送を原則としているのだろうが、キャスターとゲストの受け答えが噛み合わなかったり、ゲストの発言が聞き取りにくかったりする場合もある。緊迫感を漂わせたい意図はわかるが、視聴者優先で一考を願いたいところではある。

アレマ

   *NHKクローズアップ現代(2008年7月3日放送)

   <メモ:バイオ燃料とアメリカの政策>

そもそもバイオ燃料はCO2削減、エネルギー政策(中東依存を修正する)、農家支援(トウモロコシの価格低迷に苦しむ農家を支える)の「一石三鳥」(国谷裕子キャスター)を狙って推進が図られた。なかでも、2005年にブッシュ政権が掲げた「エネルギー政策法」が決定的な役割を果たした。「バイオ燃料の生産を増やす。だから大いに使おう。使えば、減税対象にする」というものだ。

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