永作博美…魔性っていうより貧乏オーラ(四つの嘘)

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   <四つの嘘>高校の同級生だった4人の女、その中の一人の事故死をきっかけにそれぞれの人生が交錯し始める……というアラフォー世代の話。

   魔性の女といわれる詩文(永作博美)、退屈な主婦の満希子(寺島しのぶ)、外科医で仕事一筋のネリ(高島礼子)、そして詩文の元夫(仲村トオル)と不倫旅行中に事故で亡くなった美波(羽田美智子)。

   この女優4人が同い年ってちょっと無理があるが、それぞれの個性が出ていて、競演はなかなかの見ものだ。

   最も興味があったのが永作博美の魔性ぶり。だけど残念ながら今回は貧乏オーラの方が勝っている。ボケの始まった父親を抱え生活苦。40歳過ぎて仕事を探そうとしたら、ラブホテルのベッドメイキングくらいしかないのか。この辺りリアルでグサッとくる。

   寺島しのぶは欲求不満を絵に描いたような主婦の役。美波のお悔やみに出かけて行って、クローゼットを覗き見しケータイで写真まで撮るなんて、「家政婦は見た」市原悦子の後釜はこの人と思ったのは私だけではあるまい。息子の家庭教師に誘惑されてコミカルなまでの超ハイテンション。相手がいかにも怪しいヤツだから「あちゃー」という感じで見てたけど、これが爽やか純情系だったら一緒にときめいちゃうのかなあ。

   個人的に惹かれたのは高島礼子の演じるネリ。最初は詩文のことが同性愛的に好きなのかと思った。クールで強そうだけど、ストーカーに一人で脅えていたり、詩文の恋人だった年下のボクサーに恋をして一生懸命パンチの練習しちゃったりするところとか、すごくカワイイ。

   4人の中で一番、魔性キャラが似合いそうな羽田美智子は、初回で死んじゃって残念。彼女の高校時代を演じる子が中学生みたいに幼く田舎くさくて、それがこんな妖艶な女になっちゃうところにきっと隠れたドラマがあるのね。

   怪我した男の指先の絆創膏にそっと触れる手、テレビを見ながら食卓の皿に残った輪切りのトマトを手づかみで口に放り込むさま、パブでおしゃべりしながら、いつのまにか半脱ぎになっている靴、カーディガンのボタンがかけ違っているのを見て情事を見抜く目線、さりげないシーンやディテールにドキッとさせられる。妙に色っぽかったり、リアルだったり、女の描き方がうまいな。

   ところでタイトルの「四つの嘘」って何だろう。4人の女がそれぞれ持っているもの? 詩文のかかえる嘘が今一つはっきりしないけど、最後に何かあるのか。結末が読めないだけに気になる。

   詩文のような魔性も、ネリのような特殊技術も持っていない迷えるアラフォー世代にも、何か示唆してくれるようなものが見つかるだろうか。

ツキノ・ワグマ

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