「復活」タリバン 「北風」策は有効なのか

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   ここ数年、アフガニスタンの武装勢力「タリバン」の名を聞くことが多くなってきた。治安向上を目的に駐留するアメリカなど国際部隊を襲撃し、テロで民間人を殺傷。8月に日本人のNGOメンバーが犠牲になった事件でも、タリバンが犯行声明を出した。ある地区のタリバン司令官は「50人しかいなかったメンバーが数千人に増えた」と胸を張る。「テロの脅威は拡大の一途」(国谷裕子キャスター)なのである。

   なぜタリバンは復活したのか。それが「タリバン復活の脅威~テロとの戦い 7年後の試練~」と題する今回の放送のテーマである。タリバンといえば、今回の放送日から7年前の2001年9月にはじまったアメリカ軍のアフガン空爆、それに続く侵攻によって壊滅状態に追い込まれたはず――。

   ところが、タリバン掃討のための空爆などで、多くの民間人が犠牲になり、また農村部では復興が進まず、人々の暮らしは貧しいまま。大麻やケシを高値でなどで買うタリバンに経済的に依存するようになっている。こうして絶望や怒りに駆られた人々はタリバン入りしたり、シンパシーを持つようになっているのだという。

   そんななかで、世界の自警団長ブッシュ大統領は言うに及ばず、オバマ、マケインの次期大統領両候補も「アフガニスタンがテロとの戦いの主戦場」と位置づけ、兵力増派などを支持しているのだという。「こうした『力の政策』が成果を上げると見ていますか」。国谷キャスターが、アフガニスタンで取材を続けるNHK記者に呼びかける。

   「いいえ」。兵力増強は住民の反発を招くとの見方があり、国連アフガン代表も「(タリバンは)軍事的に処理することはできない」と会見で明言。テロとの「戦い」だけではなく、国際社会による地に足の着いたきめ細やかな支援――貧困地域にも農業支援などが行き届き、住民の信頼を得ることが、タリバンの勢力拡大を食い止めることにつながる、と記者は訴える。

   こうした意見に彼らが耳を傾けるまでに、いったい何年かかるのだろう――。ついあの歌の一節でも口ずさみたくなる放送ではあった。

ボンド柳生

                   

   *NHKクローズアップ現代(2008年10月7日放送)

文   ボンド柳生
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