親の虐待から「保護」のはずが… 学校にも行けない子どもたち

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   苦しんでいる人たちに助けを提供するはずのサービスや仕組みがうまく機能しない――そんな例をクローズアップ現代のなかで、さかんに目にする。救急車に乗れば、行き先が決まらずに立ち往生。老人はベッド不足の病院から早々に追い出される。そして今回は「行き場がない 虐待された子供たち」である。

   年間の相談件数が4万件を超えるなど、児童虐待が急増している。それにともない、虐待を理由に保護者から「保護」される子供も増えているという。こうした子供たちは、ひとまず児童相談所(一時保護所)で保護されたのち、児童養護施設か里親のところに落ち着く。割合では前者が9割と大多数で、里親は1割にとどまる。

「望みはないし、期待もしてない」

   ところがメイン受け入れ先の養護施設のほうが、もはや定員パンク状態。財政難なども手伝って、職員の人員数も厳しく、子供たちのケアが十分行き届かない状態になっているという。

   それでも、そんな養護施設にすんなり入れば、まだ運がいい。受け入れ先が決まらないまま、本来は緊急避難的な場所であるはずの一時保護所に、長期間留め置かれる子供が増えているそうだ。保護所に滞在できる期間は2か月までと決まっているが、7か月、8か月、1年と暮らす子もいる。

   その間は宙ぶらりんの生活で、行動にも制限が多い。保護者が取り返しに来るかもしれないので、外出は原則禁止。従って学校にも行けない。授業については、退職した教師などを招いてプリント学習などを行っているが、学習の遅れは避けられないそうだ。

   保護所の子供たち700人を対象としたアンケートを取ってみると、「ストレスたまる。ここにいていいことなんてない」「望みはないし、期待もしてない」など、先が見えない生活への不安や絶望の声が少なくなかった。

   とても保護者のもとには置いておけない、と「保護」する。すると今度は外出も出来ず、学校にすら行けない非人間的な生活が待っている。これでは、子供たちは「保護された」とは到底思えないだろう。閉じ込められる檻の形状が若干変わるぐらいの話なのだから――。

ボンド柳生

*NHKクローズアップ現代(2008年10月14日放送)

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