バス廃止で「生活権奪われる」 「デマンド型」は救世主?

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   全国で路線バス廃止の動きが加速しているようだ。今2008年9月だけで117、この1年では932路線が廃止されたという(NHK調べ)。スタジオゲストの秋山哲男・首都大学東京教授は、「今は序章に過ぎない。民間バスの7割は赤字。公営はそれ以上が赤字」と述べる。

公営バスの赤字 チェック厳しく

   廃止急増の背景には各自治体の台所事情がある。財政難のため、バス会社につぎ込む補助金の削減を迫られているのだ。住民生活への影響は大きく、ことに高齢化が進む地方で問題は深刻。

   9月30日、秋田県では28の路線バスが一斉に廃止された。「翌日からバスが頼りだった住民の暮らしは一変した」(ナレーション)。病院通いの足を奪われて、年間17万円のタクシー代が要ることになった年金暮らしのお年寄りは、「医者に行くだけの年金になった」と力なく漏らす。秋山教授は「生活権、生存権を奪っている状況に近い」と言う。

   大都市・名古屋も例外ではない。500億円の累積赤字を抱える市営バスがピンチを迎えているのだ。これまで公営交通や公立病院の赤字は、市の通常の赤字とは別枠だった。が、昨年、「財政健全化法」が制定されて、自治体の赤字に対する国のチェックが厳しくなり、市営バスの赤字を早期に削減するようにと、国の指導が入ったのである。

「動く公共施設」

   自治体も手をこまねいているわけではない。路線バスに替わる「代替交通」を運行させているところが少なくない。

   市内を走る路線バスが数少なくなった長野・安曇野市は、昨年9月から「デマンド型交通」と呼ばれるシステムを採り入れた。市民の電話を受けて自宅前まで迎えに来た乗合ワゴンが、その人を目的地まで届けてくれるのである。料金は一律300円。路線バスに比べて利用者は2倍以上に増え、注目を集めているそうだ。

   この方式には工夫が凝らされている。まず、発足前に住民のニーズを詳しく調査したところ、行き先の殆どが市中心部の病院やスーパーという結果が出た。で、市を5つの地域に分け、そこから乗った客が、中心部なら、どこでも降車することを可能にした。さらに、乗合ワゴンが『一筆書き』で走れるように、配車のオペレーターに地元の主婦を採用、地元ならではの土地カンで効率的なコースをドライバーに伝えるようにしたのである。このまま利用者が増えれば、「市の財政負担も軽くなって行く」(ナレーション)。安曇野市の「デマンド型交通」が、生活の足の確保に悩む人たちを救うことになるかもしれない。

   最後に、秋山教授は「バスは動く公共施設」だとして、「バス路線の周辺に、高密度の住宅を建てたり、ショッピングセンターがあるなど、コンパクトに住まえる環境づくりを、長期的な視点で目指すことが重要」と語った。

   スタジオゲストの説明がやや明快でない部分をキャプションによって補ったのは、いつもにない試みでアイデアが感じられた。

アレマ

   * クローズアップ現代(2008年11月17日放送)

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