2024年 4月 26日 (金)

国谷キャスターの目が潤んだ! 「小児がん」親子の苦悩と実態

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   いつものインスト音楽にのって番組がはじまり、国谷裕子キャスターがVTR前の長いブリーフィングを行う。いつもと同じ展開だが、何かが違う。よく見ると、国谷キャスターの目が潤んでいるのだ。

診断ミス…自分を責める親たち

   今回の放送「知られざる悲劇~小児がん医療を問う~」では、国の進めるガン退治政策から取り残されてしまった小児がんのなかでも死亡率が高く、厳しい状況にあるという小児脳腫瘍を取り上げた。この病気は診断が難しく、標準的な治療方法が確立されていず、専門医も少ない。

   誤った診断、治療によって救えるはずの命が助からなかったり、重い後遺症が残るケースが少なくない、と国谷キャスター。「多くの親たちが『子供のために』と思って行った決断、治療の選択がはたしてよかったのか、と悩み苦しんでいます」。そう聞いただけでは涙のワケが今ひとつよくわからなかったが、番組を見るうちに痛いほどわかってきた。

   「子供」と「脳」という組み合わせのセンシティブさは「その子を助けるための治療によって、障害を抱えることが非常に多い」(北海道大学病院・澤村豊医師)。発達途上の子供には放射線などの影響が強く出るので、化学療法にも細心の注意が必要だ。また繊細な脳の手術は、もし誤れば子供の先の長い人生に影響してくる。治療を選択するのは親であり、何かあれば自分を責めてしまう親もいるだろう。しかも、その選択が誤った診断、治療に基づいたものならば――悲劇は二重、三重にもなってくる。

専門医と情報の集約拠点を

   病院で娘の余命が二か月と診断され、母親は娘の命を救うため、知的障害をおこしかねない強い放射線治療と抗がん剤治療を受け入れざるをえなかった。ところが、その2年後、小児脳腫瘍の専門家が詳しい検査をしたところ、子供の腫瘍は当時の診断とはまったく別のもので、それほど悪性でないとわかったというのだ。

「今まで受けた激しい治療の副作用を思うと体が震えてきました」「正しい診断がされていれば、この子の将来も大きく変わっていたかもしれない」(母親の手記)

   いま少女は治療の後遺症に悩まされ、学校の勉強についていけないという。「宿題やってるときも、みんなできることが、なんでわたしだけできないって泣くんです。それを見てると、あれだけ放射線受けなくてもよかったのに――普通に治療を受けていたら、ここまでじゃなかったのかなって、悔しい思いがします」。泣きながら、震えながら、母親は話した。

   小児脳腫瘍の子供を持つ親たちは、全国に数か所の専門医と情報の集約拠点を置いてほしいという――この病気の「重さ」にくらべれば――じつにささやかな願いを訴えているという。

   「小児脳腫瘍の実態と家族の方々の切実な思いをお伝えして参りました」と番組の締めくくりに国谷キャスター。このときには「切実な」という言葉や、冒頭の目の水分度もじつに腑に落ちるものとなっていた。

ボンド柳生

NHKクローズアップ現代(2008年12月2日放送)
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