世界経済危機は救えるか 国谷キャスター「ダボス会議」に迫る

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   ダボス会議が水曜日から始まった。世界経済フォーラムの年次総会、今年(2009年)は日英独露中など40か国の首脳と国連事務総長ら国際機関、経済界のトップら2500人が集う。未曽有の経済危機の中、テーマは、「危機後の世界をどう築くか」と一歩先を行く。

「道徳観変える必要あるかも」

   会議を主宰するクラウス・シュワブ会長(70)に、国谷裕子が聞いた。

--深刻な経済危機の中、今会議の意義は?

「今回の危機は本質的な変化を伴う危機だ。いますべきは優秀な頭脳を結集して、これまでのやり方、行動、ルールをも変えることだ」

--ダボス会議で、危機を警告した人はこれまでもいた。なぜそれが届かなかったのか?

「毎年5%の成長という陶酔感に浸って、危機のシグナルを見過ごしていた。こうした危機が再び起こらないように、長期的視点で築き上げたものを次の世代に引き継がないといけない。道徳感を変える必要があるかもしれない」

--参加者の中には高名な経営者もいる。彼らは成果ばかりを追いかけていたのではないか?

「経営者だけではない。株主も、全員がゲームの参加者だった。ハイウエーを思い浮かべてください。一部の人が、車の時速を240、280、320キロとあげてしまい、やがて全ての車が高速になった。リーマン・ブラザーズが事故を起こし、いまそこらじゅうが事故になった」
「いま政府が救急車の代わりをしている。私たちは、どうしたら命を救えるかを考えるが、それだけでは不十分。ハイウエーに新しい基準が必要になる」

--規制が必要だという合意はできつつあるが……

「グローバルな協力が不可欠。現実には政策は国家の仕組みが優先されるから、国境を越えたネットワークが必要になる。人と人の結びつきを深めることで、新しいアイデアが生まれる」
「ダボス会議は、結びつきを作る組織なのです。世界の問題は、政府だけ、産業界だけでは解決できない。問題は、たとえば健康は経済発展と、環境は貿易と、というように、相互に関連している。しかし国際システムは細分化されたまま。21世紀には、これを結びつける組織が必要なのだ」

新理念「危機の中、実現可能か」

--政治色を除くようにしているのか?

「危機になるとどの国も自己中心になる。国益を守るために、グローバルな利益に反することもやる。国の代表は選挙で選ばれているから、世論のプレッシャーに左右される。私たちはこれを防ぐために、長期的な議論をうながす触媒の役割を果たす」

   シュワブ会長は先に、危機後の必要な新しい理念として「グローバル・コーポレート・シチズンシップ」を提言している。企業が、利益追求・株主重視から脱皮するよう求めたものだ。

--新しいことばだが、企業責任とは違うのか?

「企業責任の先をいく言葉だ。従業員や周辺の人たちだけでなく、より多くの人たちに配慮すること。例えば遠いアフリカの国のことでも、長い目で見れば利害関係者になりうる。過去50年の経済成長を牽引したのは、新興国の消費者だった」

--深刻な経済危機の中でそれが可能だろうか?

「現実を見てください。残された時間は少ない。気候変動の危機など、経済の危機よりはるかに大きい。グローバリゼーションはイデオロギーではなくて、事実なのです。環境汚染は国境では止まらない」

   理念はわかる。だが、集まるのは世界のトップ、筋金入りの現実主義者ばかりだ。この取り合わせは、やっぱり奇妙である。

   <メモ:クラウス・シュワブ会長> ドイツ生まれ、スイスで経済学の学位をとり教鞭もとった経済学者。1971年、33歳の時ダボス会議を組織。その時々のテーマで世界の指導者と理念を発信してきた。90年代からは、人種差別、パレスチナなどの政治問題もテーマに取り上げ、政府、産業界、市民団体、有識者を糾合したユニークなフォーラムに仕立てあげた。総会以外にもネットワークを拡げ、2007年の大連(中国)会議、08年のニューデリー経済サミットなどを開いている。

ヤンヤン

   *NHKクローズアップ現代(2009年1月29日放送)

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