誰が本当の父親? なんて吹き飛ぶ勢いとノリ(マンマ・ミーア!)
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<マンマ・ミーア!>結婚式を直前に控えた娘とその母親、招かれた友人たち、そして娘から内密に招待された母親の元カレ3人衆。ギリシャの小さな島を舞台に、次々と起こる騒動やそれぞれの思いを、ABBAの楽曲に合わせて踊って歌ってハジけまくる!
ABBAを知らない人でも「ダンシング・クイーン」「チキチータ」「マネー・マネー・マネー」など、いくつかの代表曲は耳にしたことがあるはずである。世代が違っても魅了される楽曲には様々なものを惹きつける力があり、映画は全編に渡ってABBAソングに彩られる。それを歌っている俳優たちにあまり高度な歌唱力を求めてはいけないが(とくに元ボンドのあの人)、そんなことはおかまいなしに、この映画は劇場で観るからこそ醍醐味を味わうことができるのだ。
肝心の映画の中身は、某親子の宣伝で推すほど『母と娘の絆』はあまり深く語られない。父と一緒にバージンロードを歩きたいと、見たこともない父親候補に思い切って招待状を送るに至るまで、娘ソフィが父親に対して抱いていた思いというのは何だったのか。一番興味を惹かれる父親騒動の部分も消化不良気味であり、この映画においてのドラマ要素はハジけ飛んでしまった。
おまけに前半は純真で陽気なソフィを微笑ましく見ていられたのに、いつのまにか後半で主役が交代。結局適当なところで集約されたラストは、途中までの盛り上がりに反して勢いとノリだけで迎えてしまったようだ。
ただそんな納得できない部分も、ABBAの楽曲と絵になるようなギリシャの美しい風景がカバーしている。106分という時間を高いテンションのまま、ほぼノンストップ状態で駆け抜けるが、とにかく映画を楽しめることは間違いない。観たあとは思わずABBAソングを口ずさんでいるだろう。
ジャナ専 巴麻衣
オススメ度:☆☆☆☆(劇場なら…で☆1個おまけしました)