2024年 4月 26日 (金)

韓国ロボット界「自信満々」 日本との「国際標準」バトル

   「新たな成長産業を生み出そう」。官・民による日本経済復活への胎動が始まっているという。

   その一つが、車載用に用途が拡大しつつあるリチウムイオン電池。いずれ大容量化と出力アップに成功すれば太陽光発電や風力発電で得た電力を蓄え、家庭用に供給する新産業へ成長する可能性を秘めている。

リチウムイオン電池に期待

   番組では、このリチウムイオン電池を巡る最近の動き、さらにそうした技術力を市場で生かす「国際標準」獲得へ向けた動きを追った。

   携帯電話やノートパソコンなどの需要拡大とともに成長してきたリチウムイオン電池。モバイル用から車載用に用途が拡大しつつある現在、世界のトップランナーを走るのが日本勢だ。

   三洋電機、ソニー、パナソニック3社合計で、世界市場の60%以上のシェアを誇っている。「09年はリチウムイオン元年」(業界)という声も聞かれるこの市場へ、かつて撤退した東芝が再び挑戦を表明した。

   この3月期に2800億円の営業赤字が見込まれている同社が、数100億円の資金を投入し、リチウムイオン電池の開発に本格参入するという。

   素材メーカーもこうした動きに呼応する。三菱化学は、現在のリチウムイオン電池の100倍を超える電流が流れても安全な素材の開発に取り組んでいる。

   また傍観していられないのは下請けメーカーも同じだ。このほど、自動車関連の下請けメーカーが多い神奈川県が音頭を取って、『リチウムイオン電池研究会』を立ち上げている。

   参加したのは、機械、電池製造、化学などのメーカー。連携してリチウムイオン電池の部品分野に積極的に参入していこうという趣旨だ。

   スタジオには、日本総合研究所の高橋進・副理事長が生出演。国谷キャスターが「次の産業としてリチウムは期待されていますが、ポテンシャル(潜在的能力)をどう見ていますか?」に、高橋・副理事長は次のように答えた。

   「産業のコメといわれた鉄から、21世紀は電池が新しいコメになっていくのではないかと見ています。

   目先、大容量化やコストダウンなどの課題があるわけですが、克服するために他の産業分野がこぞって協力すれば、鉄や自動車と並ぶ産業のピラミッドを形成すると思う」

ロボット「標準」争い

   さらにもう一つ、『国際標準」獲得への戦略も忘れてはならないと高橋・副理事長は指摘する。

   この『国際標準』で、すでに議論が始まっているのが安全性の確保が重要視されているロボット。2011年に国際的な安全規格を決定することになっている。

   日本のロボット技術は世界でもトップクラスだが、もし日本に不利な『国際標準』に決まれば、これまでの努力が生かされないことになる。

   その最大の脅威が韓国。サービスロボットに年間70億円もの巨費を投じ、日本との技術の差を詰めている。「2年後の『国際標準』は、私たちのほうが採用されるでしょう」と、張ったりでも無視できない自信。

   国谷キャスターは「もし標準がとれないと、日本のダメージは大きいでしょ?」に、高橋副理事長は「設計をやり直さなければいけなくなるし、特許料を払うハメにも……。場合によっては、韓国と組んでやることも考えねば……」と。

モンブラン

   <メモ:国際標準>

   WTO(世界貿易機関)が1995年に企業に義務付けた安全性などの規格。ISO(国際標準化機構)に加盟する157か国の民間技術者や研究者が参加し、多数決で『国際標準』を採決する。日本はこれまで、マーケットシェアを確保すればいいと力を入れてこなかった。

   *NHKクローズアップ現代(2009年4月1日放送)

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