橋下府知事らがスクラム 「国への挑戦」トライできるか

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   「こんな、ぼったくりバーみたいな請求書で…・…」という橋下徹・大阪府知事のひとことで、あらためて注目された「直轄事業負担金」。国の公共事業費の一部を地方が負担する制度だが、その負担の重さと内容の不透明さから、制度の見直しを求める論争になりつつある。

   そもそもは、3月大阪府に届いた198億円の請求書。昨2008年半年分の道路関係負担金だったが、内訳は維持、修繕の項目別に路線名と金額だけで、積算の根拠が一切なかった。「ぼったくり発言」はこのとき出たものだ。

地方と中央が対等に「隔世の感」

   橋下知事はすでに2月、09年度予定される負担金425億円のうち38億円を予算案からカット、一部支払い拒否を決めていた。近畿地方整備局はこれを受けて、緊急性の高いものだけにするなどの措置をとったが、橋下知事の考えは、「負担金制度そのものの見直し。基本的には廃止」というものだ。財源委譲による地方分権の促進である。

   この問題をめぐる国と全国知事会の初会合が4月8日、国交省で開かれた。12知事が出席したが、知事会側は事業の権限と財源を委譲した上で負担金を廃止するよう制度の改革を求めた。しかし金子国交相は、「負担金をゼロにというところも、負担するからやってくれというところもある」と逃げた。

   この会合は、香川県の国の出先が、庁舎の移転費や人件費まで負担金に入れていたことがわかったのがきっかけだった。ために金子国交相は香川県知事に謝罪して情報開示は約束したが、制度の見直しにまでは踏み込まなかったのである。

   しかし、元三重県知事の北川正恭・早大大学院教授は、この会合を「隔世の感がある」といった。かつて地方は中央官庁と対等に立つことなど考えられなかったからだ。「陳情して公共事業予算をとってくるものだった」

   金子国交相のいうように、知事の間でも立場の違いはある。直轄事業は、道路、河川、空港、ダムなど大規模な工事で、地方の負担は3分の1ですむ。財政的に苦しい県にとっては、いぜんとして頼みの綱なのである。

「政治力のない県、道路造れない」

   奈良県の荒井正吾知事は、財源の委譲がないまま負担金制度が廃止されることを懸念する。奈良は県南の道路の整備が遅れており、観光事業にしばしば支障をきたしているからだ。「100%国の事業になると、政治力のない県は道路が造れなくなる」と。

   これについて北川教授は、「荒井知事のいうことはわかるが、橋下知事のいってる抜本的な見直しとは次元が違う。権限や財源の委譲までやらないと地方は困ってしまう」という。

   「12人の知事が国に逆らってまで立ち上がったのは、背に腹は代えられないというところ。いまは事業をやって失敗したら責任がかかってくる。不透明な請求書に金を払っていたら、県民に対して責任がはたせない」と、時代の変化を強調した。

   国谷裕子が、「地方のマネージメント能力が問われるのではないか」

   北川教授は「これまでそういう機会も与えられずに親がかりでやってきた。自分でやれば責任が伴うが、自立のためには寒風の中で鍛えられることも必要だ」

   先の大戸川ダム(滋賀)凍結は滋賀、京都、大阪、三重の知事の連携が生んだものだが、根底に負担金の問題があった。公共事業のあり方を問い直す動きは全国的に広がっている。その意味で時代の風といっていいのかもしれない。

ヤンヤン

   *NHKクローズアップ現代(2009年4月9日)

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