お金って何? 道徳って一体…(ニセ札)=下=

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(C)2009『ニセ札』製作委員会
(C)2009『ニセ札』製作委員会

   <ニセ札>(下)時代背景は戦後間もない頃。舞台は、緑の木々と清流の山に囲まれた山梨県の和紙産業が栄える小さな村。村の人間は配給不足などもあり、貧しい生活を余儀なくされていた。小学校では、子どもたちが読む本すらない。その現状に教師のかげ子(倍賞美津子)は胸を痛めていた。

   偽札作りに関わる人間は多種多様であり、かげ子のように大義名分を感じている者もいれば、私利私欲のために参加している者もいる。はたまた写真屋の主人や元軍人など様々な個性と動機が入り乱れ、バリエーションを豊かにしている。

   「人間とお金」の関係性をユーモアを交えつつ表しているが、劇中に出てくる「お金は所詮ただの紙切れ」という言葉など、終戦で激変した価値観を風刺しているシリアスな一面も随所に出てくる。本物と見分けがつかない偽札を渡された村人の笑顔を見たときのかげ子の笑顔は、心がほっこりする傍ら、お金というものの存在や、道徳観念とは一体何なのかと、考えさせられてしまう。

   大きいテーマだけに、後半にテーマをひけらかしすぎた感があるのが残念であり、強引にまとめた印象もある。テーマをはっきり言わないほうが、よりそのテーマを強く、迫真的に伝えられるということもあるし、観る者は独自に考えられることができたはずだ。木村祐一監督も自ら手掛けた三者による共同脚本ということだが、テーマの芯の強さでなんとか持ちこたえたが、脚本自体の「ばらつき」が目立ち、疑問を持ってしまうシーンが多い。

   お笑い芸人である木村監督の個性は活きているが、爆発はしていない。小さくまとまってしまった印象だ。次回作では、違う畑の者がやれる「爆発」を見せてほしい。

川端龍介

   オススメ度:☆☆

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日本ジャーナリスト専門学校
通称ジャナ専。東京都豊島区高田にあるマスコミの専門学校。1974年の開校以来、マスコミ各界へ多くの人材を供給し続けている。

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