妻はいらんが子ども欲しい そんな「男心」揺さぶるのか

印刷

   <白い春>もう、ダメ。第2話で主人公の佐倉春男(阿部寛)が、さち(大橋のぞみ)のくれたアンパンを手に持ってじっと見つめ、うっすらと涙を浮かべながら食べるところなんか、号泣寸前。涙のしょっぱさとアンの甘さが混じったパンの味まで感じたような気がした。

   好きな役者が3人出ている。阿部寛と遠藤憲一と吉高由里子。それに今度は子役の大橋のぞみも加わった。藤岡藤巻のおじさん2人と「崖の上のポニョ」の歌を歌って一躍有名になってしまったのぞみちゃん。「ザ・クイズショウ」にも出てるし、今やドラマやCMに引っぱりダコだね。

遠藤憲一の善人役と滑稽感

   人を殺して服役、出所したばかりの元ヤクザを演じる阿部寛。ギョロ目の縁をただれたように赤くしたメイクが荒んだ内面を表していて怖い。不健康に痩せた猫背の姿勢、歩く時の足の引きずり方も暗い凶悪さを感じさせる。一見してヤクザとわかるこの顔が、さちという子供に出会ってどう変わっていくのか、それが見どころの1つだ。

   一方、遠藤憲一はひたすら善い人、パン屋・村上康史の役。あの強面(こわもて)で、赤ちゃんの時から育ててきた娘・さちとの暮らしが春男の出現によって揺らぎ始める不安を演じている。遠藤憲一が善人の役をやると、どこか滑稽感が出て、それがまた好いのだ。

   出所者に厳しい現実も描かれている。懲役9年分のわずかな報酬をいきなり盗まれ、寝る所、食べる物にも事欠く有様。でもなんとか清掃会社の臨時雇いの仕事を見つけて働き出す。ああ、よかった。春男と一心同体になってしまっている私……。

   ネットカフェで春男と知り合う娘・栞(吉高由里子)がいい。家出して、ネットカフェや屋上の仮小屋暮らしをしている。でも一緒にいる勇樹(遠藤雄弥)ともただの相棒で、彼氏でもないし、全然頼りにしていない。何とか自分でビジネスをしようといろいろ考え、前向きだ。失敗して借金を背負ったりするが、優しい心も失っていない。

   春男が人を殺したのは、病弱だった妻・真理子(紺野まひる)の手術代800万を工面するためだった。自分が刑務所に入ることで、真理子の命を救おうとしたのだ。真理子が身ごもっていたのも知らずに……。出所後訪ねた元ヤクザ仲間・竜也(デビット伊東)に真理子が死んだことを聞いた時の絶望と怒り。

   春男と村上という2人の純情男の「父もの」ドラマである。大昔には、育ての母と産みの母という「母もの」映画が流行ったこともあったらしい。今は、子供が欲しいと思っている男がけっこう多いと聞く。結婚はそんなにしたくないけど子供だけ欲しいというホンネを持つ男もなかにはいるようだ。そんな空気を反映しているのかも。

カモノ・ハシ

  • コメント・口コミ
  • Facebook
  • twitter
コメント・口コミを投稿する
コメント・口コミを入力
ハンドルネーム
コメント・口コミ
   

※誹謗中傷や差別的発言、不愉快にさせるようなコメント・口コミは掲載しない場合があります。
コメント・口コミの掲載基準については、コメント・口コミに関する諸注意をご一読ください。

注目情報PR
追悼

お知らせ

電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中