2024年 5月 6日 (月)

迫力あるバトルはどっち? 「長嶋父VS一茂」と「朝日VS新潮」

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朝日記事は「007の小説」?

   「朝日新聞阪神支局襲撃犯の告白」という大虚報をしてからの新潮の勢いがすごい。先には、鴻池官房副長官のW不倫をすっぱ抜き、首を取ったが、その後に始めた「大新聞の押し紙」問題は、執念を感じさせる凄味がある。

   長年隠し通してきた大量の、読者に渡らない新聞「押し紙」は、大新聞の恥部であった。新潮が4回にわたって追及してきたことは目新しいことではないが、新聞側は、もうそろそろ認めて、本当の実売部数を公表する時期に来ているはずだ。

   「繰り返しお答えしていますが、弊社には貴誌が取り上げているようないわゆる『押し紙』はありません」(朝日新聞広報部)といういい方は、もはや見苦しいと思うのだが。

   その新潮が、仇敵・朝日新聞の報道を「虚報」と決めつけたのだ。件の記事は、「朝日新聞『金正雲・胡錦濤会談』大虚報のケジメの付け方」。読者にしてみれば、自分のところで大虚報をしておきながら、いまだケジメもつけてないのに、朝日にこんなこといっていいのかしらと、どぎまぎしてしまうほどの威勢のよさなのだ。

   一面にでかでかと「『後継』正雲氏が訪中 金総書記の名代 胡主席らと会談」というスクープが掲載されたのは6月16日の朝刊。

   しかし、その日の中国外務省の定例記者会見で、秦剛報道官が、その報道を完全否定してしまった。それも「まるで007の小説を読んでいるようだ。続編には何を書くのか?」と笑われてしまったのだから、朝日は面目丸つぶれである。

   ここからがすごい。まず、「コリアレポート」の辺真一氏に、「『一大スクープ』を『一大誤報』と言われたのですから白黒をつけるべきでしょう。(中略)購読料を取っている朝日には読者への説明責任もあります」といわせ、コラムニストの勝谷誠彦氏にも「あの会社は無謬主義、つまり朝日が間違えるワケがない、というのが身上。(中略)今回も頬被りし続けるでしょうね」といわせたあと、こう結んでいる。

   「様々な相手に声高に『説明責任』を求め、6月12日付社説では西松建設を巡って民主党に〈自浄力が問われ続ける〉と説いた大朝日。今回の『虚報』疑惑を闇に葬ることなく、しっかり『ケジメ』を付けなければ、秦報道官ばかりでなく世界のメディアに嗤われますぞ!」

   朝日を新潮と置き換えれば、先日の大虚報に対して、我々が、新潮に対していっていることと同じになる。

   よくもぬけぬけといいやがるという思いは、朝日にはあるだろうが、それにしては、この記事を否定した朝日の記事の何と小さいこと。都合の悪いことは小声で、こちらに分のあるときは大音量でというのは、いずれのメディアも変わらないということがよくわかる。

   麻生政権の断末魔は刻々近づいているが、民主党にもそう勝たせたくないというバランス感覚からか、今週号も、民主党議員がらみのスキャンダルがそこここにある。中には筋のよさそうなものもありそうだが、あまりにも細切れで、迫力不足。何も無理して、新聞のように中立公正を気取らなくてもいいんじゃないかと、思わず茶々を入れたくなる。

   蛇足で1本。朝日でジャーナリストの黒木昭雄氏が追いかけている、岩手県で起きた殺人事件で指名手配されている容疑者をめぐる不可解な警察の捜査への疑問。一読の価値あり。


元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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