「欲望丸出し」と「守りたい」 ラブシーン演じ分けに注目(愛を読むひと)
(C)2008 TWCGF Film Services II, LLC. All rights reserved.
<愛を読むひと>全世界500万人以上が涙した、ドイツ作家の小説「朗読者」の映画化がついに実現した。物語の舞台は1958年、15歳の少年マイケルと21歳年上のハンナが恋に落ちるところから始まる。
この映画でやはり注目したいのが、本年度アカデミー賞主演女優賞を受賞したケイト・ウィンスレットの成熟した演技。97年に公開したタイタニックでの、お姫様ヒロイン的な印象とは一転、過去に罪を背負うどこかミステリアスで欲望をあらわにする女性を濃密に演じている。
アカデミー賞を取った女優なので、素晴らしい演技をするのではないかという期待があった。しかし、情熱的で存在感のある役柄ではない。むしろ、ケイトが演じるハンナは素朴でシャイなどこにでもいそうな女性。
しかし、一つひとつの表情がとても印象的で美しい。
彼女の演技も見どころなのだが、15歳のマイケルを演じるデヴィッド・クロスの演技にも注目したい。この映画にはラブシーンが多くみられるのだが、荒々しくハンナと抱き合う欲望丸出しの場面、彼女を心から守りたいと思い抱き合う場面と、同じラブシーンだが絶妙な感情の差を演じ分けており、なんとも印象的だ。19歳とは思えない感情がこもった演技は哀愁ただよう深さを感じた。
後半は社会的な問題に焦点を当て、ハンナが背負っている過去と秘密を明らかにしていく。前半の恋愛を中心とした流れとは全く違い、大人へと成長していくマイケルと、過去に捕らわれた生活を送り、老いて行くハンナ。後半は物語の流れが予想できる展開になっているのが正直残念。もし自分がマイケルだったら、ハンナだったらどういう選択をして、結末を迎えるのだろうと考えさせられる映画だ。<テレビウォッチ>
POCO
オススメ度:☆☆☆