台湾の日本語世代 「解けない数学」と愛憎(台湾人生)

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(C)台湾人生2009
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   <台湾人生>台湾は日清戦争後の下関条約(1895年)を機に、清(中国)から日本へと割譲され、第2次世界大戦で日本が敗戦する(1945年)まで日本によって統治されていた。日本流に国内のインフラ整備や治安維持がなされ、学校教育も日本語で行われた。

   この映画の登場人物5人は、生まれたときにはすでに母国が日本に統治され、当たり前のように日本語教育を受けてきたいわゆる「日本語世代」だ。今では80歳以上になる彼らが、幼少期、第2次世界大戦の戦前・戦後、そして現在までの人生を振り返りながら、日本政府や日本人、そして母国台湾についてどのような思いを抱えて生きてきたかを語る。

   正直、途中、登場人物の日本語が聴き取りにくい場面もあった。若い頃に日本人のもとで働いていたヤンおばさんは、もともと小学校を1年間しか通っていないため、どうしても日本語がたどたどしい。また、戦争で友を亡くし、二・二八事件(1947年)後に弟を亡くし、日本にとって自分たちは何だったのかと自問自答するショウさんは、懸命に語ろうとするあまり涙を流し、声を詰まらせる。しかし聞き取りにくい場面にあえて字幕をつけなかったのは、ありのままの彼らを観る人に受け入れてほしいという監督の意図であろう。

   戦後、台湾は蒋介石の国民党に統治された。「台湾語」と日本語の使用は禁じられ、弾圧があり、反発から二・二八事件も起きた。登場人物のひとりは、日本に対して愛憎の入り混じる台湾の歴史を「これは解けない数学だ」と言う。

   派手な場面もない代わりにドキュメンタリー映画と聞いて想像しがちな観た後の重々しさはない。戦争を体験していない世代に特におすすめしたい。

   7月現在は東京のみの上映であるが、8月から神奈川、大阪、新潟、北海道をはじめ、秋に向けて全国各地で上映が予定されている。

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   オススメ度:☆☆☆☆

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通称ジャナ専。東京都豊島区高田にあるマスコミの専門学校。1974年の開校以来、マスコミ各界へ多くの人材を供給し続けている。

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