のりピー事件、選挙を圧倒 新潮「継母語る」が読ませる

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   週刊誌の世界にも格差が広がってきた。値段のことだが、今週号の現代は特大号と謳って390円。ポストは350円。朝日も増大号とあって380円。新潮は340円で文春は350円。現代と新潮の差は50円もある。

   最近、編集長が交替して少し部数を伸ばしている現代だが、大幅な赤字体質からの脱却にはほど遠い。そのための定価アップだが、このままでいくと、年末には400円時代が来るかもしれない。私が編集長をやっていたときが300円だったから、この12年で100円近く値上がりしたことになる。

100週刊誌のススメ

   先日、高田馬場の書店をブラブラしていたら、映画のDVDの並んでいる棚があった。眺めてみると、ジーン・ケリーが主演監督した名作「雨に唄えば」がたったの390円。それに大傑作「天井桟敷の人々」と「嘆きのテレーズ」2枚組が500円。もちろん何度も見ている映画だが、思わず買ってしまった。確かにフイルムの状態はよくないが、これだけの名画を890円で自分のものにできるのだから、映画ファンとしては無上の喜びである。

   いい時代になったと思う。それに比べて、週刊誌はちと高すぎないか? 100円ローソンのよくばり弁当が210円。すき家のみそ汁朝食セットが280円。100円ショップへ行けばほとんどの日用品は手にはいる。それらと比較して、高すぎると思うのは、私だけではないはずだ。

   以前から、週刊誌の現場の諸氏にいっているが、100円週刊誌を出したらいい。月曜日と金曜日の2回出す。月曜日は硬派の記事を中心で、金曜日はエンタメ系と週末情報を入れる。これなら100円ショップにも置いてもらえる。そろそろ真剣に考えるときだと思うのだが。

   今週も、どの週刊誌も同じような選挙の最終予測をやっているが、よく飽きないものだ。一時は投票行動に影響を与えてはいけないと自粛していた新聞までが「民主320も、自民100前後」(朝日新聞8月27日朝刊)とお祭り騒ぎだ。聞いたところによると、ある大手新聞では、調査結果が民主党330と出たが、これではあまりにも多すぎると、調整して発表したという。

   現代は、ご丁寧にこれまでやった選挙の予測を載せている。「自民党130、民主党283」(7月4日号)「自民党78、民主党332」(8月1日号)「自民党44、民主党390」(8月22・29日号)。そして今週号は「自民党141、民主党289」。現代を見る限り、自民党が44から141へと大幅に復調している。

   朝日は、民主ズバリ307議席。ポストは自民党150、民主党275と穏健な予測だが、どれを見ても民主党の過半数越えは揺るがないようだ。

   「今回は、とりあえず民主党に」というのが多くの有権者の「民意」だとしたら、政権を取ったら間違いなく噴き出すであろう大派閥「小沢派」と非小沢派の対立や、マニフェストを工程表通り実行できなければ、あっという間に「民意」は離れてしまうはずだ。浮かれている民主党の大勝は、本当の苦しみの始まりでしかない。

   各誌、次号は選挙結果を入れようと発売日をずらしてくる。ポストだけが火曜日発売だが、他はすべて水曜日発売となる。予測通り、民主党圧勝となるのか、アナウンス効果が出て自民党が巻き返すことができるのか。私は、朝一番に投票して、湘南海岸へでも行ってこようと思っている。

社長は知っていた?

   酒井法子容疑者の起訴が決まったようだが、今週ものりピーものが溢れている。どれも似たり寄ったりの中では、新潮の「ついに継母が語った『酒井法子』の十字架『3時間』」が読ませる。

   酒井には3人の母がいるが、ここで話しているのは2人目の母である。彼女が大分県のクラブで働いているとき、酒井の父親と知り合った。酒井の存在を知るのは結婚してからだったという。

   当時酒井は、父親の妹夫婦の家に預けられていた。継母がこう語る。

   「まだ乳飲み子だった時、ノンちゃんは佐賀県のお寺のお堂に棄てられていたんです。実のお母さんに。ノンちゃんが生まれたとき、三根城さん(酒井の父親=筆者注)は刑務所にいて、奥さんは三根城さんの実家の寺で暮らしていました。その間に、奥さんは三根城さんの知人の若い男といい仲になってしまい、生まれたばかりのノンちゃんを寺に置いて、出ていったのです」

   彼女は結婚してすぐに、男の子を出産する。健といって、今回の事件の3週間ほど前に福岡で、覚醒剤使用で逮捕されている。

   三根城氏が小林旭と親しく、小林が「可愛い子だね。この子は俺が絶対にスターにしてやる。英才教育する」といった話や、三根城氏の女癖の悪さのために離婚したことなどを語っている。

   後半は、酒井の逃亡6日間を支えた東京都内の会社経営者A氏(71)をインタビューしている。酒井が高相と結婚した直後から別れたがっていたという。それではなぜ、高相は酒井にクスリを勧めたのか? 新潮はこう推測している。

   「それは、結婚早々に『冷めて』しまった酒井を繋ぎとめる手段ではなかったか。そして、クスリ欲しさの『禁断症状』に抗えなかった酒井はズルズルとこの『ヒモ夫』との関係を続けてしまった――」

   A氏の兄が実質経営する「みやび法律事務所」の関係者は、サンミュージックの相澤正久社長は、酒井が逃亡中どこにいるかを掴んでいたのに、何も知らないと記者会見で話したのは茶番だと憤っている。

   文春で、捜査関係者がこう危惧している。

   「覚醒剤の押収量が年々増加し続ける中、逃亡して尿検査をクリアすることで罪を逃れられると考え、法律の網の目をすり抜けさせようとする者までいる。これは到底看過できません」

   彼女を取り巻く、いい年をした人間たちの浅はかな企みが、事件をより深く広がりのあるものにしてしまった。週刊誌がこのネタをしゃぶり尽くすまで、後どれぐらい続報を続けるのか。元アイドルの覚醒剤事件は、選挙よりも大きな国民的関心事であることは間違いないようだが。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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