ファックスで届いた遺書 企業再生にこだわる理由

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   <テレビウォッチ>一ヶ月ぶりの「プロフェッショナル 仕事の流儀」。今回の放送は「みな、どん底からはい上がってきた?逆境からの復活スペシャル」。過去に放送されたプロの中から、選りすぐりの(?)逆境を集めた放送だ。

   どのプロの逆境も考えさせられることの多いものだが、その中でも今回取り上げたいのは弁護士・村松謙一の逆境。

   慶應大の法学部を卒業、司法試験に合格。企業再生専門の事務所に就職し、実力を発揮。大型案件を何件も処理し、ついに独立。東証一部上場企業から個人商店まで、倒産の縁にある企業を次々と救ってきた。彼の仕事の流儀は「みんなが見放しても、僕らは見放しちゃいけない」。逆境を乗り越え続けて、その思いにたどり着いた。

   ある朝届いた大量のファックス。大きな案件の傍ら取り組んできた、小さな子供服店の社長から。その社長からの遺書だった。村松に対しての感謝がつづられていたという。その後、その会社の整理をしながら村松は自分で自分を罵倒し続けた。

   立て続けに長女が体調を崩し、入院。その数日後、彼女は15歳で亡くなった。自分の子供の骨を拾う。それは地獄以下の気持ちだったという。一番大切な娘すら守ってやれなかった。人を救う自信が無くなり、息を潜めるように生きて、3年が過ぎた。

   ある時参議院財政金融委員会から、参考人として破綻企業の再建について意見を求められた。「倒産の危機にある企業を100%再生し続けなければいけないのか?」

   村松に、子供服店の社長のことが浮かんだ。

「今のご質問ですが、端的に言うと100%再建をし続けていかなければならないと思います。なぜならば、やはり命に関わるんです。すべてについて」

   企業の再建は、人の命に関わる。自分の仕事の必要さを、村松は改めて認識した。村松の逆境に対しての流儀は「乗り越えられる壁は乗り越える。でも乗り越えられない壁もある。それを乗り越えようとすると、人間の傲慢さが出る。乗り越えずにそれと共に歩くことも必要」。

   逆境が人を強くする。茂木がよく口にする言葉だ。しかし、乗り越えられない逆境も多くある。逆境との向き合い方も様々なのだ。逆境とはワンパターンではない。そのことを強く思った放送だった。

慶應大学 がくちゃん

NHKプロフェッショナル 仕事の流儀(2009年8月25日放送)
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