中国家電王が語る 「黄金時代」と自信
<テレビウォッチ>毛沢東主席が『中華人民共和国』の建国を高らかに宣言してから60年、改革開放経済を導入してから30年。
中国は今、出口の見えない金融危機で、50兆円を超える景気刺激策を打ち出し、世界経済をけん引する原動力として世界中から期待されている。
従業員12万人
様変わりに存在感が高まるばかりの中国。大国化する中国。「一体どこへ向かおうとしているのか」と、国谷キャスターが天安門広場から2回シリーズで取り上げた。
その1回目は、躍進著しい中国経済を代表する家電量販店の社長へのインタビュー。
で、番組を通して見えてきたのは、日本に追いつけ追い越せと、日本をはじめとする先進諸国の技術を短期間で自家薬籠中の物にする知識欲、バイタリティーだ。
「中国家電王」と呼ばれる『蘇寧電器』。同社は1990年に従業員10人足らずのエアコン販売店としてスタートした。
当時エアコンの販売は国営デパートが独占。一部の富裕層しか手のでないぜいたく品で、世間では「国営デパートと全面対決」する『蛮勇企業』と興味津々で受け止められていたらしい。
ところが時代が大きく動いた。改革開放の成果が出始め年率10%を超す経済成長率の始まり。豊かさを求める中間層がその象徴として冷蔵庫や洗濯機を我先にと買い求めるようになった。で、同社は『総合家電量販店』に大転換する。
そんな最中、大学の講師を辞めて11年前に同社の経営者に転身したのが孫為民社長だ。
孫社長の陣頭指揮で拡大路線をまい進。2003年には1週間に1店、04年には5日に1店、05年には2日に1店のハイペースで店舗展開していった。
あっという間に家電売り上げNO1に登りつめ、04年には深?証券取引所に株式上場を果たした。今では従業員12万人。日本の家電量販大手の『ラオックス』の筆頭株主にもなっている。
「10年以内に売上高4兆円」
その孫社長に国谷キャスターがまず、「今のこの勢いをご自身はどうお考えですか?」と尋ねた。
これに孫社長は「数字から見ると早い勢いかもしれませんが、全国に200の子会社を持つ規模からするとけっして早くないと考えています。
今から10年以内に3000店舗、売上高4兆円を達成するのが私たちが掲げる目標で、実現は十分可能です」と胸を張る
中国的な針小棒大な数字ではなく、そのための布石も打っているらしい。
このほど米コンピューターメーカーのヒューレッド・パッカード社と業務提携を結んだ。
国谷が「業務提携にはどんな狙いが?」に、孫社長は次のようにメリットを語る。
「問屋を通さず直接メーカーと取引し、安く大量に商品を仕入れる。パッカード社だけでなく様々な海外メーカーとダイレクトに供給を受けられる関係を結んでいます。そうすることで、互いに販売状況や在庫状況が瞬時に確認でき、利益を上げられる」
さらに同社は、現在3つある配送センターを全国をカバーするため60か所に拡大、コンピューターで管理する最新鋭の物流システムにする計画も進めているとか。
ラオックスの筆頭株式になったのも「単独で日本に進出するのは困難が伴う。優れた経営ノウハウとか商品管理など日本から多くを学ぶために、傘下に収めようと考えたのです」という。
最後に国谷が遠慮がちに「1963年生まれの46歳でいらっしゃいますよね。物心ついた時に文化大革命。今60周年を迎えるわけですが、個人としてどんなお考えを?」と。
その答えは、やはり改革開放の『覇者』としてのコメントだった。
「私たちにとって改革開放の30年は黄金時代といえます。30年の間に、様々な知識を吸収し発展の基盤を築き上げてきました。それらがすべて、今の発展に繋がっていると思います」
モンブラン
*NHKクローズアップ現代(2009年9月30日放送)