仕分け作業「全事業やったらいい」 元総務相も後押し

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<テレビウォッチ>やるのも初めて、見るのも初めて。概算要求から無駄を省く事業仕分けに、日本中が見入った。すべて公開で予算編成の密室が開かれ、丁々発止のやり取りは、問題点を浮かび上がらせた。

   仕分け人のひとり、民主党の尾立源幸参院議員は「数字が読める男」で知られる。公認会計士、税理士の資格を持つ。「両立支援レベルアップ助成金」に注目した。厚労省所管の公益法人「21世紀職業財団」の事業で、両立とは「仕事と家庭のバランスの推進」で、取り組む企業に助成する。予算30億円のうち9億円が財団の経費。天下りがなんと39人もいた。

天下り財団通す必要性は?

   仕分けの1週間前、チームは財団を訪問した。天下りのうち36人が厚労省出身。47都道府県にある事務所の所長は、半数以上が厚労省出身だった。財団は、「OB受け入れで高い専門性が保てる」という。しかし、「この財団を通す必要がある事業か?」という素朴な疑問。

   前夜の打ち合わせでは、「IQの高い官僚を攻められるだろうか」という仕分け人に、行政刷新会議の加藤秀樹事務局長が、「言葉の定義を問え。『中立』とか『効果をあげてる』とかを」とハッパをかけた。当日、「専門性」に食らいついた。「どこに特殊性があるのか」「金を分けているだけでは?」。判定は「事業は続けるが、財団を関与させない」と出た。

   元総務相の増田寛也・野村総研顧問は、「自民党時代とは様変わり。かつては、密室で官庁や族議員の力関係で決まっていたものが、国民目線になって、なるほどと納得される」といった。

   長野県佐久市の岩村田本町商店会の幹部が、仕分け作業のテレビ中継に見入っていた。地方の商店街活性化のための「中小商業活力向上事業」(経産省所管)の行方だ。200の商店街に40億円の予算だ。

   この商店街では今2009年1月、補助金800万円で閉店した薬局を学習塾に改装して、活性化の実をあげていた。ところが仕分け作業では、「どれだけ経済的な効果が得られたか」という議論になった。「むずかしいよ」「数値化できないもの」と見守るうちに、「2割縮減」となった。「エーッ!?」「論点がずれてる」

   科学技術振興機構(文科省所管)は、8つの事業780億円が対象となった。理事長が「科学技術は国づくりの基本で……」と、アメリカの研究費が高いという話に入ったが、「前置きはいらない」と遮られて、廃止または削減となった。

仕分け結果の見直しも?

   仕分け人の方も、「すぐに結果が出ない分野を、どう見ればいいのか」と思い悩む。しかし、「どうしてこの金額が必要かを説明できないとダメ」という声。これもひとつの見識だ。

   森本健成キャスターが「これを予算編成にどう生かすか」と問う。鳩山首相は、「この国の形を示すなかで、何が必要か、政治判断も必要」と、見直しの可能性もほのめかした。

   増田・元総務相は、「科学技術とか外交は、大きな国家戦略にかかわるから、それを先に出さないといけない。しかし、スパコンで『世界1位か』『2位か』とやっていると論点が整理される」「今回は447事業だったが、いちど3000事業全部やってみたらいい。そして、ここから先が密室になったらいけない」

   今回は72事業が廃止。埋蔵金を含めて1兆6000億円規模の無駄を削った。天下りや特別会計のからくりがあきらかになっただけでも大きい。50年間も闇の中だったんだから。

                                        

ヤンヤン

*NHKクローズアップ現代(2009年11月30日放送)
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