「野菜工場」を輸出せよ 日本先端技術の力とは

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   <テレビウォッチ>明るい話題である――太陽光パネル、LED(発光ダイオード)、リチウムイオン電池、水の浄化・循環設備という日本の誇る先端技術を組み合わせて、無農薬なのに、泥、虫の付いていない野菜を栽培する『野菜工場』。番組はまず、日本全国に50か所以上あるという野菜工場のいくつかを紹介する。

   千葉・松戸市では閉店した熱帯魚店の内部を野菜工場に改装、つくったレタスをその場で販売する。究極の「地産地消」、むしろ「店産店消」である。

3度目の正直

   北海道・岩見沢市は、冬場、葉物野菜を栽培できなかったが、野菜工場の活躍で雪国の悩みを解消する。しかも輸送費がかからない分、本州産のものより価格も安い。

   「レタスの場合、露地物だと収穫は年2回となるが、野菜工場だと月1回の収穫も珍しくない」と国谷裕子キャスターは説明する。いいことずくめで、今後も野菜工場設置の波は広がりそうだが、国谷によると、実は「野菜工場ブーム」は3度目だという。

   「今度は大丈夫か」と尋ねる国谷に対し、スタジオゲストの井熊均(日本総研創発戦略センター所長)は「3度目の正直になるだろう」と受け、「技術革新で価格が安くなっているし、安心、安全志向にもかなう。十分、採算性がある」と続けた。

   当然、海外進出も積極的に図られ、水不足が深刻な中東のカタールで商談がまとまる場面が出てくる。カタールへは、太陽光パネル以下を搭載したコンテナごと輸出される。化学メーカーの役員は「LEDなど単品では日本のコストが高く、勝てない。組み合わせて全体で醸し出す競争力を狙った。環境と食糧という問題が解決する。何十倍もマーケットが広がる」と笑顔で語る。勝機ありと見ているのだろう。

「提案力が課題」

   野菜工場については中東、アフリカ諸国のほか、ロシア、オーストラリアなどからも引く手数多らしい。が、13億の人口を擁し、経済成長をとげ、安心、安全な野菜への意識が高まっている中国は難関のようだ。特許の保護、ノウハウの漏洩に懸念を持ち、二の足を踏む企業が殆どだという。

   そんな中、兵庫・姫路市のあるメーカーが中国進出を計画する。単に工場を輸出するだけでなく、つくった野菜の品質管理、流通まで管理し、ブランドに育て上げ、トータルで収益を上げようという構想だ。「アジア全体で食糧を考えなければいけない時代が来ている。そういうときに役に立てば日本の切り口としてやるべきではないか」と社長は言う。

   井熊は「野菜工場は技術の組み合わせ。運送業者、流通業者など、事業者の組み合わせがあって始めてブランドが確立する。そして付加価値が生まれる」と述べる。そのうえで、新幹線と地下鉄、バスを連絡するターミナル駅を例に、日本のシステムは優れているが、システムを販売するための「コーディネイト力、提案力が課題だ」と結ぶ。

   「宝の持ち腐れ」はもったいない。活用して「3度目の正直」を実現してほしい。

                               

アレマ

NHKクローズアップ現代(2010年1月7日放送)
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