あきれるJALのキックバック 文春が報じた「生資料」

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   1月13日夕方、永田町に激震が走った。小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」が2004年に土地を購入した原資4億円が政治資金収支報告書に記載されていない問題で、東京地検特捜部が、東京・赤坂の陸山会の事務所、小沢幹事長の個人事務所、大手ゼネコン・鹿島の東京本社、仙台市の東北支店を一斉捜索したのだ。

   前日、小沢氏は、久しぶりに記者会見を開いたが、肝心のこの問題に対しては何も答えなかったし、東京地検からの事情聴取の要請も、拒否したと報じられている。その矢先の電撃的ガサ入れである。それも、小沢氏のゼネコン支配の本丸である鹿島へ手を入れたことは大きな意味がある。これは特捜部が本気で、小沢氏の疑惑追及をやるという最終通告に違いない。「小沢VS.検察 最終戦争」(朝日)は、検察の威信を賭けた戦いになる。今週号各誌も、この問題を取りあげてはいるが、朝日のように、余裕の小沢、焦る検察という見方が多い。

小沢包囲網と検察・反小沢

   文春の「東京地検特捜部は小沢を追い詰められるか」では、検察上層部は強引な捜査の反動で検察人事への政治介入を許すことになれば、今後何年間も検察が機能しなくなると懸念し、捜査を担う地検特捜部とのせめぎ合いが続いているという。

   対する小沢側は、「小沢氏が田中角栄首相のロッキード裁判を一度も欠かすことなく傍聴したことは有名ですが、彼は法務、検察当局の手の内も熟知しています」(民主党関係者)。その上、スキャンダルで失脚した元東京高検検事長の則定衛弁護士がアドバイスしていて、守りは固めているとしている。

   新潮はもっと脳天気で、「沙羅双樹の花の色 おごれる『小沢一郎幹事長』」では、今回、任意で事情聴取されている石川知裕代議士の元秘書だった人物に、石川氏の言葉として、「小沢先生の自宅には、現金が10億円置いてあるんです」と、小沢の金満体質を描いてはいるが、危機が迫っていることには触れていない。

   現代も、「小沢軍団VS.検察」で、小沢強気の背景には、対検察用のアメとムチ作戦があると読む。「今は警察庁出身などしかいない官房副長官ポストに、新たに『法務省枠』を設置する話があります。人事で圧力をかけつつ、懐柔策もチラつかせて検察に揺さぶりをかけているんです」(検察OB)

   昨夜、小沢を20年以上追及しているライターの松田賢弥氏と話した。彼は、検察は本気、小沢逮捕まで視野に入れているといっていた。

   元総理大臣秘書がくれた年賀状にこう書いてあった。「小沢氏と反・非小沢グループの我慢はいつまで続くのでしょうか? 自民党急進グループと反小沢が手を組み、やがて小沢氏はご用済みとなる気がします」。検察からも党内からも、小沢包囲網は少しずつ狭まってきていると思う。

「今年は電子書籍元年」

   JALの倒産問題も各誌取りあげている。驚いたのは、文春の「JALよ、さらば」のなかにある、旅行会社へのキックバック(KB)制度である。「<東京~道東>の<適用運賃>が九千九百円、<KB額>八千百円、<実質収入>千八百円とある。<東京~道東>とは、羽田と釧路や帯広などを結ぶ東北海道路線のこと。<適用運賃>はエアラインの旅行会社に対する片道チケットの卸値だ。(中略)おまけに、このチケットは空弁(原注=空港で売られる弁当)付き。弁当代を差し引くと実質八百円程度の北海道チケットなのである」。

   このKB制度は、JALが始めた日本固有の販売促進制度だというのだからあきれる。その結果が8600億円を超える債務超過だ。こんな杜撰な会社に1兆円規模の税金を投入する意味があるのだろうかと考えさせられる。

   13日の朝日新聞朝刊1面に「電子書籍化へ出版社が大同団結 国内市場の主導権狙い」という記事が載った。「拡大が予想される電子書籍市場で国内での主導権を確保しようと、講談社、小学館、新潮社など国内の出版社21社が、一般社団法人『日本電子書籍出版社協会』(仮称)を2月に発足させる。米国の電子書籍最大手アマゾンから、話題の読書端末「キンドル」日本語版が発売されることを想定した動きだ」(朝日新聞より)

   「今年は電子書籍元年」ともいわれ、08年度は約464億円だったが、5年後には3000億円規模になるとの予測もある。

   しかし、出版不況をいい訳に、デジタル化にほとんど手をつけてこなかった日本の出版社は、そうなっても、「アマゾンが著作者に直接交渉して電子書籍市場の出版権を得れば、その作品を最初に本として刊行した出版社は何もできない」(同)のだ。

   あわてて、「講談社の野間省伸(よしのぶ)副社長は『経済産業省などと話し合い、デジタル化で出版社が作品の二次利用ができる権利を、著作者とともに法的に持てるようにしたい』」(同)ようだが、甘過ぎはしないか。お上に頼るのではなく、アメリカのように、新刊本もどんどん電子書籍市場に出して、コンテンツ市場を充実させなくては、「リブリエ」(ソニー)や「Σブック」(パナソニック)が撤退したのと同じ失敗を繰り返すことになる。

   書店側の顔色をうかがうのではなく、書店も巻き込んで、アマゾンに対抗できる超大型ネット書店を作り、そこへ魅力のあるコンテンツを多くの出版社から集めて、並べる。それぐらいの大きな構想がなければ、日本の電子書籍分野の夜明けは、まだまだ道遠しと思わざるをえない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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