2024年 4月 27日 (土)

上野昂志のジャンル別必見12本! (3)白熱

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白熱 特別版DVD 3129円(税込) ワーナー・ホーム・ビデオ
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   今週は、ハードボイルド映画を2本。1本目は、『白熱』(ラオール・ウォルシュ監督 1949年)。

   これは、はるか昔、わたしがまだ中学の1年坊主のときに見て、その凄さに痺れ、映画って、なんて面白いんだろうと唸った、映画開眼の1作である。

   まず、なによりも、ジェームズ・キャグニー演じるギャングのボスが凄い。冒頭の、現金輸送列車を襲うところで、自分の名前を知った機関士を、記憶がいいなと、ニヤリと笑って撃ち殺す非情さ。加えるに、シカゴの下町育ちらしいメリハリの効いた早口や、タップダンサーとして鳴らした身の軽さ(それで主役を演じた映画もある)が、冷酷無比のギャングを演じながら、なんとも魅力的なのだ。

   監督のウォルシュは、そんなキャグニーに、マザコンで頭痛持ちという性格を加えることで、人物像に陰影をつけると同時に、物語に起伏をもたらす。

   その物語の運びが、これまた絶妙なのだ。列車襲撃から逃走、連邦警察による追跡、それをかわすための刑務所入り、脱獄……と展開するプロット(エピソード)に、伏線が周到に張り巡らされていながら、息もつかせぬスピードで進んでいくのである。なかでも、連邦警察から送り込まれた捜査官が、キャグニーに接触していく一方で、ボスの座を狙う子分が、獄中の仲間を使ってキャグニーの命を狙う刑務所から脱獄に至る一連がスリリングだ。

   だが、圧巻はやはり、石油コンビナートを襲う最後のくだりだろう。包囲する連邦警察の銃弾をかいくぐって石油タンクのてっぺんに登ったキャグニーが、拳銃を乱射して、タンク群を爆発炎上させていくさまは、まさに『白熱』というタイトルにふさわしい。

映画評論家 上野昂志


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通称ジャナ専。東京都豊島区高田にあるマスコミの専門学校。1974年の開校以来、マスコミ各界へ多くの人材を供給し続けている。

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