夫が昔の女のもとへ… 「妻の苦悩」とリアルな行動

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   <遠まわりの雨>山田太一脚本、渡辺謙主演の恋愛物語ということで、見る側も肩の力が入る。主要キャスト陣の演技はもちろん、チョイ役で出ていたYOUやEXILEのAKIRAも、印象に残った。物語はというと、やはり重厚な雰囲気が漂っていた。

20年ぶりの恋心って?

   疲弊していく町工場、どんどん機械化されていく仕事、反抗する娘との距離の取り方、夫婦仲……。日本の社会や家族がかかえる問題をうまくとりこみながら、そういった中で過去の恋に落ちようとする男女2人が淡々と描かれている。

   20年ちょっとしか生きていない、しかも忘れっぽい筆者には、20年ぶりの再会によってよみがえる恋心というものはなかなか想像しがたい。思い出は美化される、といえばそれで終わってしまうが、年をとればとるだけ、背負うものや気持ちも多くなるのだろうか。お互いに家庭があるだけに、未練はあっても踏み込みきれないところが甘くもせつなくもあり……。

   しかし、よりせつなく感じたのは、草平(渡辺謙)と桜(夏川結衣)の恋よりも草平の妻(田中美佐子)の行動だ。突然の夫の行動に怒って工場まで詰め寄り、草平と桜が何もないように見張っていて! と社員にまで怒鳴るも、「これ以上騒ぐとみじめだから帰ります」。

   虚しい気持ちを埋めるように、家のことを放って今までしなかった買い物をしまくる。夫が家庭を放り出して昔の女のところに行く時にとる女の行動は、強くもありもろくもあり、かなりリアルだ。誰だって自分のことをみじめだとは思いたくない。「待つしかない」ことのつらさや難しさを溜めこむ妻の姿も、せつないではないか。こういう普段は体験しないようなせつなさを味わえるところに、ドラマの醍醐味があるのかも。自分が中年になったらどう感じるのか、また見てみたい。

てらっち

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