2024年 4月 27日 (土)

子ども手当てをあざ笑う? アメリカ産業政策と日本の空洞化

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

<テレビウォッチ>急成長するアジアの活力を日本の成長にどうつなげるか。シリーズ「アジア新戦略」で、この動きをさぐる。まずは、企業の動きと国の戦略。焦点はASEANとインドだ。

   先月、インドに日産の工場が完成してマーチの新型車がラインを出た。今後10年で3倍の600万台になるといわれるインドで、日産は5.5%のシェアを目指す。そして、部品の85%を現地で調達する方針だ。

海外で完結

   日産はまたタイでも新型車の生産を始めたが、これは日本への輸出もにらんでいる。日産が必要としているのは、日本の部品メーカーの進出のスピードだ。目指すは、部品の調達から生産、販売までをこなす産業の集積だ。

   人口11億人のインドと6億人のASEANとの自由貿易協定(FTA)が1月、発効した。域内の関税は6年以内にゼロになる。

   三洋電機はインドネシアでテレビの生産工場をたちあげ、年間120万台、うち79%を輸出するという。とくにインドだ。これまでは10%の関税がかかったが、インドネシアからなら、やがてゼロになる。

   そして日本企業は、自動車、家電などのほか、日本通運は、物流の流れをこれまでに築いた中国からASEAN、8000キロのネットワークを、インドにまで伸ばそうとしている。

   深川由紀子・早大教授は、「安い労賃を求めた従来の進出とは、構造的にまったく違う。経済活動を地域で完結させるトータルオペレーションだ。が、変化が早すぎて必ずしもついていけてない」という。

   また、これら企業の上げる利益が日本に戻ってきていない。海外での内部留保は、20兆円といわれる。理由は極めて単純、利益を日本に移すだけで、20%の税金がかかるからだった。政府はさすがに制度を変えたが、資金は動かない。投資先としてすでに日本は魅力的でないからだ。

日本は優先順位も決められず…

   「このままでは取り残される」と経済産業省の危機感は強い。アメリカ政府が電気自動車関連産業に出している補助金のリストに、日本の戸田工業の名があった。30億円を得てアメリカに工場を作るという。リチウムイオン電池の材料づくりで、世界的な技術をもっている。

   同社は一昨年の2008年、国内で工場建設を計画したが、建設費を調達できずに断念していた。アメリカ政府は補助金で、まんまと先端技術をもつ日本企業を引き寄せたことになる。経産省は、アメリカのリストからこれを知ったのだ。

   経産省の働きかけで、環境関連の設備投資に総額で300億円の補助金が出ることになり、戸田工業も加わっているが、長期戦略のアメリカとは違って、一時的な支援策にすぎない。問われているのはまさにここだろう。

   国谷裕子は「日本の企業がアメリカの補助金をうけて? 国全体が脆弱になっているのでは?」

   深川教授は「アメリカは明確な目標をもって、ベストの企業を呼び込んでいる。日本はグローバル化で相対的に大国でなくなっているのに、その意識がない。だから、優先順位も決められず、選択も集中もできず、スピードにもついていけない。しかし、イノベーションの余地、アイデアはおおいにある」というのだが……。

   企業はさすが実業を生き、動いていることはわかった。が、政府の無策は何なのか? 新政権も子ども手当やら何やらの話ばかり。長期戦略など望むべくもない。次回は人材争奪戦の現場から。これも見ておきたい。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2010年4月5日放送)
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