一青窈が救われた阿久悠のある言葉

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<こころの遺伝子・あなたがいたから(月曜午後10時~)>西田敏行、黒崎めぐみをメインパーソナリティに、ゲストとその人に大きな影響を与えた人を紹介する番組。この日のゲストは歌手の一青窈。そして彼女に多大なる影響を与えたとして彼女が挙げたのは作詞家の阿久悠。

とんがってていい

   一青窈は小さい頃からピンクレディーなどを通して阿久悠の歌詞に触れ、多大な影響を受けてきた。言葉の言い回しから漢字、歌詞カードのレイアウトまで、さまざまなこだわりを彼女は持っている。例えば、もらい泣きという彼女の代表曲の歌詞カードには、「字幕だらけのテレビ/に/齧り付く夜光虫」とある。普通の歌手はそのような区切り方はしないが、彼女の曲の要所要所にそういう部分を見出すことができる。

   彼女はどんな印象で見られているアーティストだろう。「癒し」や「安らぎ」といった言葉と結びつけて考える人は少なくない。彼女はそうした『イメージ』と『本当の自分』との違和に悩まされていた。そのなかで見つけた阿久悠の言葉「とんがっているものほど安らぐ」が彼女を救う。期待されているような『イメージ』にはまった歌詞を書かなくてもいいのだ。

   阿久の言葉に背中を押され、彼女はいま、以前のような癒しの曲ではなく、昔の、それこそ阿久悠の活躍した時代の歌謡曲に通じる、一見、非現実的な曲を歌っている。彼女自身、今の歌を「新歌謡(進化窈)」と名付けたように、以前とは違った曲調で、初めて聞くと驚きを禁じ得ない。何か血迷ったのか、そこまで思うような大きい変化だった。

   彼女のこの変化が果たして一般的に言われる『成功』なのかは分からない。音楽の流行スパンが短い現代では、彼女のように高い評価が定まっているのに、それまでの殻を脱ぐ人は珍しい。そこまでして貫きたい「進化窈」、ぜひとも注目したい。

YUKK

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