2024年 4月 27日 (土)

脱NHK的ドラマ狙ったけど、アブハチとらずの復讐劇になっただけ

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<チェイス~国税査察官~(NHK土曜)>NHKドラマは良くも悪くも、けれんのなさが持ち味だが、チェイスはNHKらしからぬくせ球ドラマ、よくぞここまでやるなという感じの展開が続く。

妻の航空事故死と巨額相続税のがれ

   話の舞台は東京国税局査察第20部門、通称「マルサ」である。江口洋介演じる叩き上げの査察官・春馬草輔は、レンタカー会社の20億円の脱税をつかんだが、「カリブの手品師」と呼ばれる天才脱税コンサルタント・村雲修次(ARATA)によって、いち早く「たまり(脱税したカネ)」をカリブ海の島に送られ、捜査は不発に終わる。

   その村雲は大手スーパー・コンビニチェーン「檜山グループ」の総帥・檜山正道の資産6000億円の相続税回避の指南役にもなっていて、春馬との駆け引き、捜査・摘発、犯行隠蔽と、チェイス(追跡)が繰り広げられ……。

   これまでのNHKドラマなら、こうした話をストレートに展開していったものだが、チェイスは男の嫉妬や男女の色恋沙汰をからめていく。春馬は航空機爆破事故で妻を失い、その背後に村雲の存在がちらついたり、村雲が檜山の脱税指南をしているのも、実は資産奪取が狙いだったりと、話は春馬と村雲のそれぞれの復讐劇へとなだれ込んでしまうのだ。

   単なる脱税捜査サスペンスではなく、女がからむ愛憎を背景にもってくるのあたりが、「NHKらしくない」「民放的」と感じた理由だ。毎回、謎がひとつずつ明らかになり、小さな脱税事件の捜査が行われるなどの進展を織り込みながら、それを復讐というたて糸がつないでいく。

   主役の江口が家庭を放ったらかしにして、脱税摘発に執念を燃やす査察官をしっかり演じているし、檜山役の中村嘉葎雄らのベテランがさすがにいい芝居をしている。でも、NHKの前宣伝のほどには新鮮味もおもしろさも感じることができず、「はあ、左様でございますか」ってな印象しか持てなかった。

   プールの底に隠された現金や、カーペットの裏に貼り付けられた有価証券を発見するなど、脱税摘発の見せ場シーンは出てくるのだけれど、マルサといえば、伊丹十三監督の映画「マルサの女」を思い浮かべてしまう向きは、なんだメロドラマじゃないかと、期待はずれかもしれない。「社会派×エンターテイメント」とうたっているが、あぶはちとらずに終わってしまった。

      脱税は  国のトップも  やっとるぜ

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