一刻を争う「劇症肝炎」少年に「厚労省の壁」

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   「スクープです。子どもの命が法の壁に阻まれて失われようとしています」

   中野美奈子アナがこう言って生死の境をさまよっている『劇症肝炎』と少年を取り上げた。しかし、実態は法の壁というより、法を運用する役人の前例主義、行政の壁が浮かび上がってきた。

前例にない

   患者の少年は15歳の中学3年生。入院している駿河台日大病院で劇症肝炎と診断された。肝臓の細胞が壊死を起こし8割が死亡する怖い病気で、治すには提供者の肝臓の一部を切り取り、患者に移植する「生体肝移植」しかない。

   父親が病気で昨年1月から生活保護を受けているが、幸い母親が提供者になって、生体肝移植を受けられることが可能との診断が下された。手術は保険の対象になっており、500万円程度という手術代は生活保護の受給者に認められる医療扶助でまかなわれる。

   しかし、大きな壁が立ちはだかった。生体肝移植を行う場合、肝臓と静脈をつなぐのに人の血管で作ったホモグラフトが絶対に必要とされる。これは「先進医療」の対象で保険の適用外、約80万円を自己負担しなければならない。

   一方、病院側はこれが使えない手術では、危険すぎて拒否せざるを得ないという。一刻を争う両親は何とか80万円を工面し病院側も早急に手術をと考えた。

   ところが、生活保護を受けている世帯に、生命の危険がある患者が出た場合、国が治療費を負担する「特別基準」があるが、80万円が払えるなら医療扶助の500万円の自己負担分も支払えという行政の冷たい仕打ちが待っていた。

   この話を聞いた番組スタッフが厚労省に取材したところ、「前例がない」「特別基準の申請を却下したわけではない。提出された資料だけでは判断材料として不十分」というものだった。

   資料は手術の委託を受けた東大付属病院が作成したもので、専門家も「この資料が不十分というなら、東大病院の先進医療を全部否定したようなものだ」と指摘する。

   再三の取材で、ことが大きくなりそうだと思ったのか、厚労省は先週末、駿河台日大病院に「(特別基準を)認める方向で動いている」と連絡があったという。

   番組にゲスト出演した医療ジャーナリストの伊藤隼也は、いまだに残っている「官僚病」を次のように批判した。

「厚労省はメディアが動くまで放置していた。相変わらずの前例主義。少年が生死をさまよっているのに、現場へも行かずにペーパーだけで判断する。
それにホモグラフトは欧米ではもう『先進医療』の対象ではないですよ。子どもは社会の財産。民主党はいろんなことを言っているがこんな現場が存在しているのがおかしい」
文   モンブラン
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