2024年 4月 27日 (土)

「オープンスカイ」拡大 日本の空も格安戦争に突入

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   世界の空では当たり前の航空運賃の価格破壊、ようやく日本と海外を結ぶ空の便でも始まった。きっかけは航空会社が路線や運賃などを自由に決められるオープンスカイ協定。すでに、アジアを中心に9つの国と地域で締結されており、日本にも関西空港をはじめ6空港に格安航空会社が乗り入れている。

   さらに、10月には成田空港の発着枠拡大、羽田空港の国際線化を受けて、アメリカとの間でもオープンスカイ協定が始まる。政府の手厚い保護に守られてきた日本の航空会社は否応なく生き残りをかけた熾烈な競争に巻き込まれるわけだが、オープンスカイで日本の空はどう変わるのか、番組がその最前線の動きを追った。

ソウル往復1万5000円

   ソウル往復1万5000円。格安航空会社が提供する運賃は、日本の航空会社に比べ半額。ひと昔前では考えられない料金でアジアに近隣諸国に行けるようになった。

   関西の空の玄関、関西空港。国際線の利用客はデフレ不況の影響でピーク時に比べ3割減。ところが、ひっそりとした国際線出発ロビーのなかで、ひときわ活気づいているのが韓国の格安航空会社「チェジュ航空」のカウンターだ。

   ソウルまで往復1万5000円は新幹線で大阪-東京を往復するより安い。女性観光客を中心にこのソウル便を利用されている。利用客は年間30万人以上という。

   チェジュ航空は昨年から関空-ソウル間の運行を始めた。親会社は化粧品製造などを手掛ける大手化学メーカーだが、日韓オープンスカイ協定締結を契機に異業種から新規参入した。

   当初からターゲットは日本。韓流ファンの女性をソウルへ。ソウルからは若者を中心にしたポップカルチャ―にハマる若者を。格安運賃なら潜在需要の掘り起こしができるという狙いだった。

   キャスターの国谷裕子は「今までの航空運賃はいった何だったのだろうかと思うくらい安いですね」とタメ息をつく。

   番組に生出演した航空政策が専門で、オープンスカイの研究をする花岡伸也東京工業大准教授が次のように答えた。

「オープンスカイはアメリカで始まり、欧州、オーストラリア、南米と広がって、アジアに来たという状況です。2年前に欧州のオープンスカイの調査に行った時に、ロンドンからフランクフルト(ドイツ)まで片道4000円でした。今でも聞くのは、航空運賃より空港まで行くタクシー代のほうが高いという話です」

   欧州では、全体の3、4割が格安航空会社で占められているという。

   それに比べ何事においても東海の島国は『目覚め』はいつも遅い。ようやくオープンスカイ協定が昨年、韓国を手始めにマカオ、香港、タイ、ベトナム、マレーシア、スリランカ、シンガポール、カナダの9つの国・地域と結ばれ、関空など6つの空港に外国の格安航空会社が乗り入れた。

JAL ANA生き残れるか

   当然出てくるのは「迎え撃つ日本の航空会社はどうなんでしょう」(国谷)という疑問だ。

   花岡准教授が次のように解説する。

「日本では格安というのはスカイマークなどがありますが、海外の格安航空会社と比べて相対的に値段が高く、格安とはいえないといわれています。
   理由は、羽田空港の発着枠が日本航空と全日空で占められ、発着枠が足りなくて十分な運行をあげられなかった。
   そんななかで、アジアの格安航空会社が、需要があるにもかかわらず、格安航空がない日本には潜在需要が十分あると狙いを付けてきているのです」

   政府の保護でこの世の春を謳歌してきた日本航空と全日空の2社。しかし、もはや単独では生き残れない構図になってきた。

   2社とも所属している航空グループのネットワークを使って補完し合いながら、活路を見出す作戦を模索しているが、さてどこまで身を削り、知恵を出して熾烈な競争に太刀打ちできるか。お手並み拝見と見守るしかない、

モンブラン

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