コロッケ「古いと思われたら終わり」進化やめないプロの凄み
<勝手にやってすみません!~コロッケものまね30年~(NHKBS2 8月14日午後3時30分)>ものまねタレントのコロッケがデビュー30周年を記念したコンサートを各地で続けていますが、その模様をドキュメントで構成した番組で、5月放送の再放送でした。舞台裏やメイキング、まねされる側のインタビューまでていねいに集め、コロッケのあの卓抜な形態模写、声帯模写は、大変なエネルギーと苦労の上に成り立っていて、プロとしての凄みを感じました。
演じるたび違う「五木ロボット」
「五木ロボット」「踊る北島」など、コロッケのレパートリーは200人以上あるそうですが、それを舞台で「100人メドレー」と称してぶっ通しでやるというのは、ちょっとやそっとの努力でできるものではありません。ものすごい観察力と「少しでも古いと思われたら終わりだ」という一種の脅迫観念みたいなものがコロッケを支えているのがよくわかりました。
五木ロボットのネタも「またアレか」と思われたくないから、かなり以前からやっているネタなのに、いつまでたっても完成させず、いまだに進化していて、演じるたびに変わってくるというのはスゴイですよ。それをコロッケは軽々やっているように見せる。裏の血のにじむような努力を見せないというのは、これまたプロの証です。
模写という芸が悲しいのは、限りなく本人に似せられるように稽古を重ねるわけですが、似せるまでに時間をかけ場数を踏んで、やっと似てくると今度はそれを真似るオチャラケのにせ者が現れて、グチャグチャにされてしまうことなんです。
でも、コロッケはまったく追随を許さない。まず、ものまねに対する本気度がまったく違います。いまやプロとして、ものまねだけで通用しているのはコロッケぐらいなものですよ。
それと、まねされる側に好かれているのも、あのレベルまでの芸になっているからでしょう。ただからかうようにまねするのではなく、本人もそれまで気づかなかった魅力を気づかせてくる側面があるんです。歌手の美川憲一なんか、忘れかけられていたのに、コロッケのものまねで完全に復活しましたよね。
ここまでやらないと残っていけないのかと感動した番組でした。コロッケも50歳で30周年、大きな節目にさしかかっているわけで、これからが大変でしょうが、期待も大きいですからがんばり続けて欲しいですね。
貪欲さ コロッケ支える 芸の道