2024年 3月 28日 (木)

確率0・00067%検察審「市民が裁く」の不気味

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   小沢一郎元幹事長に対して、検察審査会が2度目の「起訴相当」議決をした。これで、小沢氏は強制的に起訴され、裁判にかけられることになったが、密室で、審議過程もわからない検審に対する疑義の声が週刊誌から巻き起こっている。

   「週刊ポスト」は、上杉隆氏が巻頭で、大新聞が検審の結果を無批判に受けて、挙って小沢氏に議員辞職するべきだという社説を書いていることを批判し、こう怒っている。

   「郵便不正事件をめぐって、記者クラブメディアは大々的な検察批判を展開している。だが、私にいわせれば、官報複合体として検察権力と同衾し、共犯者としてリーク情報を垂れ流してきた記者クラブメディアこそ批判されるべきなのである」

   さらに「『たった1人』に殺された小沢一郎」では、検審に「小沢起訴」を申し立てたのは、元教師や行政書士、元新聞記者など10数人の団体だといわれているが、団体名は「真実を求める会」という極めて政治色の強い団体で、しかも今回の申し立てをしたのは、元新聞記者たった一人だったのである。

   検審のメンバーは11人だが、平均年齢は30・9歳で、有権者の平均年齢約52歳とかけ離れている。ポストが、そのような偏りが生じる確率を多摩大学経営情報学部・統計分析グループに助力を求めて計算すると、結果は、0・005%。さらに驚くのは、1回目の議決をした審査員の平均年齢も34・3歳だから、両方が起こる確率は0・00067%で、100万回くじを実施すれば7回しか起こらない、極めて珍しいことなのだ。

   今回の検審のメンバーは2000ページという膨大な資料を読み込まなくてはいけなかった。しかし、8月時点で補助弁護士が決まっていなかったことと、1か月程度の短時間で若い審査員たちが資料を読破し、法解釈を論議し、「あの独創的な結論をまとめたというのは無理がある」(ポスト)としている。

   検審は、「せめて議論を公開し、裁判員のように審査員の記者会見ぐらいは開くべきだろう。『市民が裁く』といえば聞こえはいいが、それが進めば『私刑(リンチ)社会』になる。(中略)隣国を『法治主義がない』と罵倒する前に、この国の『法治』こそが疑われる窮状なのだ」という意見には、納得できる。

   大新聞にリークして、小沢=悪というイメージをつくりあげた検察の尻馬に乗って、市民が、司法のいいなりになっては、何のための市民参加か。検審の議論をオープンにせよという意見は、まだまだ出てくるはずである。

   小沢氏は政治生命を賭けて検察と闘うといっているようだ。その小沢に、菅首相、仙谷官房長官、岡田幹事長は離党勧告できるのか。党内バトルはいよいよ激しさを増しそうだ。

いただけない…「日中対決」のお先棒担ぎ

   「週刊文春」が宮川隆義政治広報センター社長に、やたら気の早い衆議院選挙の予測をやらせている。これは、中国漁船衝突事件の対応のまずさで、菅内閣の支持率が急落したことを受けてのものだが、いま選挙をやれば民主党は惨敗するそうだ。宮川氏は、民主党は97議席落として208議席、自民党が72議席増えて188議席になると読む。躍進するのはみんなの党で、18議席増やして23議席になり、与党216議席、野党264議席で大逆転する。そうなれば政界再編は間違いないだろう。

   目がうつろな菅総理に比べて、仙谷官房長官の存在感は日増しに強まっているようだが、今回の中国漁船衝突事件の対応に見られるように、外交は苦手のようだ。

   菅首相が自慢しているベルギー・ブリュッセルでの温家宝首相との「日中立ち話会談」の成果か、フジタの残りの社員も釈放されたが、この会談の評判も、菅首相が期待していたほどよくはない。

   今回、日本で巻き起こっている反中国の動きは、一過性のものではない。

   比較的冷静な朝日や毎日など新聞社系週刊誌を除いて、各誌挙って中国批判の大合唱だが、中国に関しては比較的温厚だと思っていた現代が、巻頭から大特集「21世紀の怪物 中国とどう闘うか」を組んでいることを見ても、いまの事態は深刻だと思われる。

   先の菅・温両首相の会談を「たったの25分!屈辱的『ご用聞き』外交」と批判するのを始め、駐在する日本人を狙った色仕掛けまでしてくる「中国公安その恐るべき手口」、「『公害はヘイチャラ、技術は盗む』驚異の経済発展その光と影」、「恐るべき政治的野心 世界の中心をアメリカから中国へ」、「オレがルールだ!契約と法律は守らなくていい世界最強のトラブルメーカー」などと続き、最後は、「憂国対談 東大教授山内昌之×元外務省参事官宮家邦彦『いずれ日中対決の日はやってくる』」では、山内氏に、これからは「法政上の整備、基盤的防衛力の見直し、西部・南西諸島に展開する部隊の整備などを、最悪の場合を想定して議論すること。国土を守ることは、われわれ国民の生命と不可分なのですから。それができなければ、李鵬元首相が予言したとも言われるように、日本という国は、21世紀初頭に消えてなくなりかねない」と言わせている。

   ノーベル平和賞を中国の人権活動家・劉暁波氏(54)が受賞したことで、日本の中の反中国の動きがより高まりそうである。

   こうした空気の下では、よほどのことがない限り、日中両首脳が互いの国を訪問することは難しいだろう。メディアの自己矛盾である。

   首脳同士のホットラインがないから、今度のように拗れるのだと批判しながら、中国と軽々に話し合うのは許さんといっている。

   世界第2位の経済大国とは、どんなときでも話し合える太いパイプを持っておかなければいけない。菅・仙谷両氏にそれを望むのは無理でも、メディアが後押ししてやらなければ、両国の関係はますます危うくなっていくかもしれない。

   いつかきた道とはいわないが、お互い深い歴史の傷を持った国同士が、どうしたら良好な関係を築けるのかを、真摯に考えるときである。週刊誌が、反中国のお先棒を担ぐのはいただけない。

   最後に文春で読んだちょっと面白い話。竹内久美子の「イキモノローグ」で、おっぱいとくびれの関係について考察している。それによると、バストが大きくウエストが引き締まっている女性ほど、女性ホルモンが多く、排卵期には妊娠しやすいという研究結果がポーランドにあるという。「おっぱいは、妊娠しやすさの問題。男がおっぱいに拘るのも、当然!」なのだそうだ。

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