伝説のロックバンド「ドアーズ」いまも躍動感あふれるドキュメンタリー

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(C) 2010 Rhino Entertainment Company, a Warner Music Group Company.
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ドアーズ/まぼろしの世界>1960年代中盤から70年代初頭に活躍したアメリカの伝説ロックバンド「ドアーズ」に迫った作品。「ドアーズと映画」といえばオリバー・ストーン監督の『ドアーズ』が有名だが、本作は記録映像を骨とした、ドアーズを題材にした初めての本格的なドキュメンタリー映画だ。

   ジム・ジャームシュ監督の『ストレンジャー・ザン・パラダイス』で撮影を手がけ、天才的なカメラワークを披露したトム・ディチロが監督を務め、かつてはミュージシャンだったジョニー・デップがナレーションに抜擢されている。

涙ものの貴重映像

   ひと言でいうと「硬派なドキュメンタリー」だ。現在を完全に消去(関係者の思い出コメントの類がない)し、当時のリアルタイム感を尊重している。最大の魅力は、記録映画にして創作としての躍動を感じさせている点にある。あったりまえのことだが、ドキュメンタリーというものも創作であるということを改めて思い知らされた。

   筆者もドアーズは高校正の時に夢中になった。ドアーズの音楽は自分が――人間が、孤独であることを痛感させられると同時に、生きるという「普遍」に神秘性がうっすら忍んでいるという感覚を与えられる。目に見えない希望や快楽が、微かに存在している感覚こそが人間を動かしているかもしれない。「ああ、それがロックというものか」などと思ったものだ。だからこそ、ボーカルのジム・モリソンも自己破壊も恐れず、FBIのブラックリストに載ってまでも、27年の生涯をかけてロックと相反する社会通念と戦ったのだろうか、などと考えたものだ。

   個人的な思い入れは置いといて、この映画はとにかくドアーズが、ジム・モリソンが生きているのだ。成功に秘密は、当時の空気を尊重し、「今、起きている」という感覚を呼び起こすドキュンメンタリーの手法の手柄と、ジム・モリソンの感性と、ドアーズの音楽が今もなお新鮮さを持っていることにあるだろう。そのドッキングが創作物としてのおもしろさを持った質の高い傑作ドキュメンタリーとなっている。

   ドアーズファンはもちろんのこと、ジャニス・ジョップリンやアンディ・ウォーホルとの交流が記録された貴重映像もあるので、60年代のロックファンには涙ものだろう。

川端龍介

   おススメ度☆☆☆☆

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