2024年 4月 26日 (金)

「週刊現代」に巨額賠償命じた裁判所よ!「相撲八百長騒ぎ」どう説明するのだ

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   世は大相撲一色である。新聞、テレビが大騒ぎするのを横目で見ながら、週刊誌は「何を今さら」と鼻で笑っている。

   「週刊ポスト」は30年前から「大相撲八百長をこう報じてきた」と「本家」を主張するれば、「週刊現代」は「告発し続けた本誌がすべてを書く『八百長』力士はまだいる」と、当時横綱だった朝青龍を含めた関取たちの八百長疑惑を報じた実績と、朝青龍らの主張を鵜呑みにして敗訴が決まり、4000万円近くの高額賠償金と記事取り消し広告を出せとした裁判所への恨み辛みを書き連ねている。

   だが、私からいわせれば、もっと怒っていいと思うが、意外にソフトなのは、編集長が2人代わり、最初からこの問題を追いかけてきた武田頼政記者も現代を離れたからなのか。

   その武田記者は「週刊文春」に舞台を移し「角界汚染 八百長 賭博『取材メモ』20年全公開」を書いている。彼が追及した八百長報道に、相撲協会は約6億1千万円の損害賠償請求訴訟を起こした。この訴訟の原告の中には、今回の八百長メールで名前が出た元春日錦と豊桜が入っており、「計44万円の賠償金が2人に支払われた」(週刊新潮)そうだ。

   これも新潮の武田氏のコメントによると、相撲協会が訴えた理由はこうだ。

「相撲協会は従来どおり、税制優遇措置を受けられる公益法人化を目指しています。この認定を得るためには、組織運営の透明性や公平性が不可欠。私の記事を訴えなければ八百長を認めたも同然で、公益法人化ができなくなります」

   だから今回も、三月場所を早々と中止して、全面解明すると意気込んでいるのだろうが、相撲村に代々受け継がれてきた伝承芸のような八百長を「根絶」することなどできはしない。 

   新潮の「墓碑銘」によれば、相撲を国技と呼ぶ向きもいるが、「約100年前に作家の江見水蔭が使った表現を採用したに過ぎない」と、作家の宮本徳蔵さんが指摘していたそうだ。ならば、大相撲を完全民営化して、一から出直すことも選択肢の一つだろう。

毎日新聞スクープの裏に警察の計算

   司法への怒りでは、新潮のほうがすごい。「八百長裁判『巨額賠償』で週刊誌を萎縮させた『司法』の暗愚」とあるが、そのとおりである。

   八百長について、新聞、テレビなどの大マスコミが書けなかったのは、相撲協会が恐かったためである。しかも、武田氏を含めた現代への一審判決が出た後、大新聞は挙って「杜撰な取材」だと斬って捨てたではないか。それがいまは、大相撲に八百長が本当にあったとバカ騒ぎしている。

   それに最高裁を含めた官僚裁判官たちの世間知のなさは、改めて糾弾されてしかるべきだ。上智大学の田島泰彦教授は、こう語っている。

「こんな判決が当然とされるようでは、政治に関することを始め、社会的、公共的事象について、メディアが疑義を呈することが困難になります。この判決を出した裁判官たちは、今ならどう説明するのでしょうか」(新潮)

   この問題でいまひとつ気になるのが、なぜこの時期に、警視庁が携帯の通話記録を毎日新聞にスクープさせたのかである。もちろん記者の取材力は買うが、警察がやることには必ず裏があると思ったほうがいい。これが報道されれば大騒動になることはわかりきっている。そうしておいて、隠しておきたい、われわれ国民には知られたくないことがひっそりと進行しているのではないか。週刊誌は、勝った勝ったとうかれてばかりいてはいけない。そうしたことがないかどうかへの目配りも必要だろう。

吉本興業の「圧力」で消えた「宮迫博之&松本人志」ネタ

   新聞、テレビが後追いした記事が、文春に3本ある。一つは千葉県警の40代の警部に、不倫を理由に懲戒処分が下っていたという記事である。この男性は妻子持ちで、お相手はNHKの20代の美人記者。しかも県警キャップだったという。県警もNHKも文春の取材に答えなかったが、県警への情報公開請求で、県警の監察官が本部長宛に「処分伺書」を提出していたことがわかった。

   もう1本は、覚せい剤で逮捕され、執行猶予中だったストリッパー・小向美奈子に「また『逮捕状』!」という記事だ。新聞は2月8日に書いたが、文春が取材し原稿を書いたのはそれ以前である。彼女が付き合っていたイラン人が密売人で、小向の名前も取り沙汰されていたようだが、昨年10月に件のイラン人たちが逮捕され、そこから事態は急転したという。

   逮捕状は発行された。だが、小向の行方が杳として行方が知れないと書いている。発売後にわかったが、どうやらフィリピンに高飛び中らしい。

   覚せい剤で逮捕された人間の再犯率は5割を超す。そうなると気になるのは、やはり最近本を書いて、芸能活動を再開するのではないかといわれるのりピーこと酒井法子である。彼女は、この報道を見て、何を思っているのだろう。

   3本目は、NHKの「7時28分の恋人」といわれるそうだが、お天気キャスター・半井小絵(38)と、現役大リーガー「テキサス・レンジャース」の建山義紀投手(35)との「愛欲不倫6カ月」である。二人とも地味で、追いかけるメディアもなさそうだが、3本の「スクープ」は見事で、お買い得だ。

   最後に、これも文春のワイドの中に気になるひと言がある。フライデーが宮迫博之&松本人志の「博多でランデブー」を撮ったが、ワイドショーもスポーツ紙もひと言も触れていないのは、吉本興業から扱わないでくれと、懇願されたからだというのだ。

   よくある話ではあるが、見逃せないのは、文春の取材に吉本の広報担当者がこう答えていることだ。「各社に『そっとして置いていた頂きたい』とお願いしました」

   こういう「圧力」に簡単に屈してしまうメディアって、何のために存在するのだろうか。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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