2018年 5月 20日 (日)

福島で今こんな事が起きている!「週刊文春」青沼陽一郎の現地ルポ出色

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   「週刊ポスト」の表紙の評判がいいようだ。たしかに、「週刊現代」の被災地写真に「被曝拡大『全情報』」の大きなタイトルより、自衛隊員が、抱いた赤ん坊を見つめて微笑んでいる写真に、「日本を信じよう」というタイトルのほうが救いがあってホッとする。

   こうした大惨事が起こると、いつも思い出す話がある。アメリカには全国紙はないが、一時期「USATODAY」が部数を伸ばし、唯一全国紙といわれたことがあった。部数を伸ばした理由は2つある。1つは、一面に難しい政治や経済記事ではなく、読者の関心のある記事を載せることにしたことである。それにはこんなきっかけがあった。

   人気女優でモナコ公妃になったグレース・ケリーが自動車事故で亡くなった日(翌日かもしれない)の新聞の一面には、USATODAYも他紙と同じように、政治か経済記事を取り上げて印刷をはじめた。社長が一杯ひっかけようと下のバーへ行ってみると、みんなケリーの死についての話題ばかりだった。すぐに引っ返した社長は、印刷をストップして一面トップをケリーの死亡記事に差し替えて発売したところ、完売したというのだ。以来、読ませたい記事よりも読みたい記事を一面トップにもってくることにしたのである。

   もう一つUSATODAYにはモットーがある。暗いニュースほど、明るい面を見て取り上げろということである。ある時、何百人か死亡した大飛行機事故が起きた。他紙は「航空機事故で○○人が死亡!」と大書したが、USATODAYは「大事故でも○人が生きていた!」と見出しを打ったのだ。

「町ごと捨てられるんだよ」(地元の避難男性)

   さて、福島原発1号機は予断を許さない深刻な状況が続いている。昨日(2011年3月23日)、東京都金町浄水場(葛飾区)で基準値を超える放射性ヨウ素が検出されたことで水パニックが起こり、今朝オフィスへ来るとき、10か所ぐらいの自動販売機を見てみたが、水はすべて売り切れていた。

   昨夜、出版社の人間たちと酒を呑んだ。そこで、大手はだいじょうぶらしいが、中小出版社は紙の生産量が落ちたため、品薄で雑誌を出すのにも苦労しているという。その上、広告も激減で、出版界は三重苦、四重苦である。

   今週一番読み応えがあったのは「週刊文春」。「大震災は天罰」発言した石原慎太郎都知事インタビューはいかがかと思ったが、「菅総理はさかんに現地視察に行きたがっているが、市民運動家というのは、やはりご用聞きなんですな。『何かお困りのことはありませんか』と町内を回るだけで、大所高所からのリーダーシップや構想力を持ち合わせていない」という菅批判はさすがである。

   青沼陽一郎氏の「原発20キロ圏『見捨てられた町』を行く」はいいルポである。原発から北30キロ圏内に位置する南相馬市は、屋内退去が要請されているために、誰も支援の手を差し伸べてくれない。このままでは市民が飢え死にしてしまうと、市長は東京キー局の電話取材で何度も訴えている。それに対して各局の看板キャスターたちは同情し、風評だけで現地入りしない輩を批判はするが、「では、どうして直接取材に来ないのですかと訊くと、黙り込んでしまって、誰も来ない」(南相馬市職員)

   市内の病院には200人以上の患者が残されているが、転院できないでいる。それは、誰もクルマを出してくれないから移送の手段がないためだ。ある自治体から住人を避難させるためのバスを手配するという申し出があったが、汚染が恐いから郡山まで出てこいといわれたそうだ。コンビニもスーパーも閉まり、食糧の補給もままならない。

   原発の地元・大熊町から避難してきた30代の男性の言葉が重い。

「(中略)これまでも命がけで東京に電気を送ってきたんだよ。でも事故が起こったら、斬り捨てられる。町ごと捨てられるんだよ。(中略)もし、何ヵ月後かに帰れても、そんな町に誰が来るよ。地元の人間は戻るよ。そりゃ故郷だもん。でも、汚染された町に誰も来ないから、永遠に孤立するんだよ」

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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