助けられなかった…復旧が進むほど大きくなる「心の傷」

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   先の見えない避難生活のストレスと家族や親族を亡くした悲しみ、今も残る大津波への恐怖――国谷裕子キャスターは「津波は家屋や町を壊しただけではなく、被災者の心も深く傷つけている」と言う。

   阪神大震災以降、研究が進んできた被災者の心のケア問題。精神科医師や診療量療法士などの専門家は、地震から3週間が過ぎたこれからが対策の大切な時期と訴える。災害当時の興奮状態から現実にかった被災者は、被災時の恐怖や将来への不安に襲われる。とくに、今回は大津波による被害が甚大で、避難行動によって生死が分かれた。

「自分が息子を殺したようなもんだ」

「あの人を助けられたのに」
「一人で逃げたことを後悔している」

   生き残った人たちが口にするのは自責の言葉だ。宮城県・名取市の老母は「自分を救うために息子が死んだ。自分が息子を殺したようなもんだ」話す30代の女性も「すべてを失ってしまった。泣きたいけど、避難所では泣け泣けない」とこらえる。

   被災した人々を診療している宮城県・南相馬市の精神科医師・高橋亨平医師はこう語る。

「震災直後は多くの人が自分たちは助かったと喜んでいたが、時間がたつと、言葉が少なくなくなった。行方不明になっている家族の問題や遺体で発見された葬儀の問題など、心に大きなダメージを受けている」

問診中にフラッシュバック

   スタジオの兵庫教育大学の冨永良喜教授は、「これだけの被災を受ければ、かろうじて生き残った人たちが自責感にとらわれる。ちょっとした判断の違いで生死が分かれた。あの時、誰かを助けられたのではないかと悩んでいるケースが多い」と解説する。

   国谷裕子が「自分の心とどう向き合うかが大切かなのでは」と問うと、冨永は「考えたくないと思っても、フラッシュバックが起きる。考えないようにしていても、何かの弾みで思い出してしまう」と言う。

   高橋も「問診中にフラッシュバックを起こし、私に抱きついてくる人もいる。心の傷を癒すのには相当な時間がかかる」と語った。

   冨永「この人だったら、辛い思いを話してもいいのだなというふうに思える場所とか空間をどう作っていくかということが重要だと思います」

   現地はまだまだそこまで手が回らないのだろうが、この問題は自殺などに結びつくことも少なくないだけに、早急な対応が迫られている。

ナオジン

NHKクローズアップ現代(2011年3月31日放送「『心の危機』被災者を救え」)

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