2018年 7月 23日 (月)

「安全」の基準と前提が大きく変わったフクシマの「前と後」

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   計画的避難の説明会が紛糾する様子が番組で取り上げられ、住民が叫んでいた。「昨日一昨日まで、ふとんを干していいと言ってた人がいるっつうのに、いまになって避難しろって。そんな話ないと思います!」

「放射能できるだけ避ける」だったはずが…

   テレビや福島では、年間10ミリシーベルトなんてへっちゃら、100ミリだってなんのそのとばかり、チェルノブイリだってセシウムでは明確な被害が見られない、タバコ・排ガスのほうが有害なんだといった「(いま出ている)放射能は安全だ」説が主流だ。

   ただ、原発や原子力を懸念してきた人たちに言わせれば、それは楽観的な見方で、国際的に全面的なコンセンサスを得た話ではないという。これ以下の放射線なら浴びても大丈夫というしきい値があるとの明確な保証はなく、人間が低線量を長期間浴びたケースについて十分な実験結果があるわけでもないそうなのだ。

   そうであるなら、放射線量は累積で考えておき、余計な放射線を浴びるのはできるだけ避けようと、より慎重、保守的になることに科学的な根拠がないとは言えないだろう。なにしろ、日本の食品輸入基準なども、そうした考えのもとに決められていたように見える。

対岸の火事から「汚染に直面する現実」に

   放射能汚染が対岸の火事ならそれでよかったが、いざ日本人が国内で大規模・長期間の汚染に直面する事態となったいま、「安全」は何千万人もの生活、社会経済といった諸事情を考慮したものにならざるをえない。以前とは「安全」の前提が変わってしまったのだ。

   国は、楽観説より多くのバッファを取ろうとしているようだが、かといって、輸入食品を扱うように、保守的に、慎重に放射能を排除することは不可能だ。米国のように、超前倒しして、簡単に80km以内の人に避難を呼びかけるわけにもいかない。ふたつの狭間で、どこに「安全」を設定すべきか、迷っているようにも見える。それがまた人々の不安を増幅するのだ。

文   ボンド柳生
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